「終活は50代に始めるべき」とよく言われます。退職が少しずつ視野に入ってきて、「そろそろやらないと」と思いながら、何から手をつけたらいいか分からない。そんな50代の方は、本当に多くいらっしゃいます。
私自身、50代のおひとりさま(バツイチ・子どもなし)として、この問いと毎日のように向き合っています。実際に始めてみて感じるのは、50代は「終わりの準備をする年代」ではなく、「これからの後半戦を、自分の手でデザインしはじめる年代」だということです。
このブログ「終活はじめの一歩」では、世間で語られる「50代の終活」と、当事者として私が日々感じていることを、両方の目線で書いていきます。
なぜ「50代」が、終活のはじめどきと言われるのか
終活は何歳から始めてもよいものですが、50代がよくおすすめされる理由には、いくつかあります。
ひとつは、親世代の介護や見送りを経験しはじめる年代だということ。「死」を身近な現実として感じる出来事を通じて、「自分はどう過ごしたいか」を考えるきっかけが、自然と訪れます。
もうひとつは、子どもの独立、仕事の節目、自分自身の体の変化など、ライフステージが大きく動く時期だということ。生活全体を見直すタイミングが、ちょうど重なってきます。
そして、何より大きいのが、判断力も体力も、まだ十分に残っている年代だということ。これは、終活を進める上で本当に大切な前提条件です。
50代の私が、終活と向き合って気づいたこと
ここからは、私自身の体験を少しだけお話しします。
私は40代のときに、終活協議会の活動を通じて、たくさんの方の「人生の最期」と関わるようになりました。父との別れもありました。そのなかで気づいたのは、「準備しておいて本当によかった」と感じている方ほど、終活を 「制限する作業」ではなく「広げる作業」 として捉えていたということです。
50代で終活を始めると、その「広げる作業」の効果が、いちばん長く享受できます。手放すことで身軽になり、整えることで安心が生まれ、そのうえで「これからやりたいこと」を考える時間が増える。
私自身、コロナで止まっていた海外への旅を、これからマイラーとして再開する予定です。今年の夏からは、新しくサーフィンにも挑戦します。50代から終活を始めたからこそ、「これからやりたいこと」のリストが、ぐっと具体的になりました。
50代から終活を始める、3つの良さ
① 体力も判断力もある状態で、ゆっくり進められる
終活には、思った以上に「考える時間」と「動く時間」が必要です。50代であれば、断捨離も、書類整理も、専門家との打ち合わせも、自分の意志で動けます。
70代・80代になってから一気にやろうとすると、体力的にも気力的にも大きな負担になりがちです。50代の余裕は、終活を続けるためのいちばんの資産です。
② セカンドライフの設計につながる
50代の終活は、「死後の準備」だけでなく、定年後の暮らし方を考える時間と、自然にひとつながりになります。
住まいをどうするか、お金をどう使いたいか、誰と過ごしたいか、何を新しく始めたいか。終活というよりも、人生の「後半戦」の設計図づくり、と呼んだほうが近いかもしれません。
③ 前向きな気持ちで取り組める
50代の終活は、体力的にも気持ち的にも、まだ「自分のためにやる」エネルギーが残っています。
「家族のためだけにやる作業」ではなく、「自分のために、これからを整える時間」として向き合えることが、いちばんの良さです。私自身、終活と向き合いながら、いまの暮らしが少しずつ自分色に染まっていく感覚を、毎日のように味わっています。
50代の終活で気をつけたい3つのこと
① これからのライフイベントで、計画が変わる前提でいる
50代は、家族構成や仕事、健康状態などが、まだまだ動く年代です。一度書いたエンディングノートも、決めた相続の方針も、5年後にはまったく違って見えていることがあります。
「決めたら終わり」ではなく、「定期的に見直す前提」で進めるのが、50代の終活のいちばんの賢い進め方です。
② 制度や法律の変更にも、ゆるく目を配る
相続税や年金、医療制度、不動産関連の法律は、数年ごとに見直しが入ります。一度しっかり調べても、5年後には条件が変わっていることが珍しくありません。
完璧に追い続ける必要はありませんが、節目ごとに「いまどうなっているか」を確認する習慣だけは、つけておきたいところです。
③ 家族との話し合いを、急ぎすぎない
「終活を始めた」と家族に伝えたとたん、相続やお墓の話で空気が変わってしまう、というケースは少なくありません。
まずはご自身でゆっくり考え、ご家族とは、機が熟したタイミングで少しずつ。一気に決めようとせず、「対話のきっかけ」を増やしていく感覚で進めるのがおすすめです。
50代の終活でやっておきたいこと
50代の終活でとくにおすすめしたい内容を、私の現場感覚で整理しました。
断捨離・生前整理
物の量は、暮らしの軽やかさにそのまま直結します。50代の体力があるうちに、引き出しひとつ、棚ひとつから、自分のペースで始めてみてください。
エンディングノートを開いてみる
最初のページから埋める必要はありません。気になるページから、ご自身のペースで書いていく。「育てるノート」として、長く付き合う1冊です。
PC・スマホのデータ整理
意外と後回しになりがちなのが、デジタル領域の整理です。SNSアカウント、サブスク、ネット銀行、写真や動画のクラウド保存。本人しか知らないパスワードが残ると、家族や周囲が大きく困ります。
50代こそ、デジタル整理に着手するちょうどよい年代です。
財産の見える化
預貯金、有価証券、不動産、保険、年金。いまどこに何があるかを、ご自身で一覧にしてみる作業です。「資産は十分なのか、足りないのか」が見えてくると、これからのお金の使い方の優先順位が、自然と整います。
医療・介護の希望を考える
かかりつけ医、延命治療や告知の希望、もしものときに行ってほしい病院。50代ではまだピンと来ないテーマかもしれませんが、いまから少しずつ考えておくことで、いざという時に家族が困らずに済みます。
葬儀・お墓について考えてみる
葬儀のスタイル、お墓の形は、ここ10年で大きく変わりました。樹木葬・海洋散骨・永代供養など、選択肢が広がっています。「絶対こうしてほしくない」「これがあると嬉しい」レベルで、希望を書き出してみてください。
やりたいことリストを書き出す
そして最後に、私がいちばんおすすめしたいのが、「やりたいことリスト」を1ページ書いてみることです。
「もし人生があと1年だったら、何をしたい?」「ずっと気になっていたけれど、まだ手をつけていないことは?」こうした問いを、ご自身に向けてみてください。50代の終活は、これからの後半戦を、自分の手でデザインしていく時間です。
迷ったら、プロの手を借りる
相続、税金、不動産、介護、医療。50代の終活で出てくるテーマは、ご自身だけでは判断が難しいものが多くあります。
司法書士・行政書士・弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー、自治体の終活窓口、終活カウンセラー・終活ガイドなど、頼れる窓口は意外と多くあります。
私自身、書籍 『終活スペシャリストになろう』(幻冬舎、2021年)でも、頼れる相談先の見つけ方をまとめています。「ひとりで抱え込まない」こと自体が、50代の終活を続けるいちばんの味方です。
まとめ|50代の終活は、後半戦のデザインタイム
50代の終活は、終わりに向けた準備ではなく、これからの後半戦を、自分の手でデザインしていく時間です。
体力も判断力も、まだ十分に残っている。家族構成や仕事の節目も動いている。だからこそ、いまの自分が「これからどう過ごしたいか」を考えるのに、絶好のタイミングです。
完璧に決めようとせず、節目ごとに見直しながら、少しずつ。それが、50代の終活との、いちばん心地よい付き合い方だと思っています。
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