独身の終活でやること10|男女・年代別の視点で考える、自由なこれからの整え方

「独身だから、いざという時に誰に頼ればいいのか分からない」。夜、スマホで終活を検索しても、家族あり前提の情報ばかりで、自分の暮らしに当てはまらない。そんなもどかしさを抱えている方は、決して少なくありません。

私自身、50代でバツイチ・おひとりさま、子どももいません。当事者として日々この問いと向き合っているなかで、はっきり感じていることがあります。

独身の終活は、不安を消すためにやるものではなく、ひとりだからこそ自由に選べる、これからの暮らしをデザインしていく時間だということ。

このページでは、独身の方が押さえておきたい10のこと、男女別の視点、年代別のポイントを、私の当事者経験と公的データを組み合わせてご紹介します。

独身の終活が、これから当たり前のテーマになる理由

「独身でひとりで老いる」というのは、もはや少数派の話ではありません。

内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によれば、65歳以上の人口に占める一人暮らしの割合は、令和2年時点で男性15.0%・女性22.1%。令和32年には男性26.1%・女性29.3%まで増える見込みとされています。

独身の終活は、特別な誰かのテーマではなく、これからの暮らしを考えるうえで、もはや前提として共有されるテーマになりつつあります。

独身の方が終活でやっておきたい10のこと

ここからは、独身の方が押さえておきたい10のことを、私の現場感覚でご紹介します。
全部を一気にやる必要はありません。気になるところから、自分のペースでひとつずつ進めましょう。

① 身の回りの物を整理する

物の量は、暮らしの軽やかさにそのままつながります。

独身の場合、亡くなったあとに整理してくれる家族がいないことも多いので、生前に少しずつ整えておくと、ご自身の日々が過ごしやすくなりますし、いざという時の第三者の負担も軽くなります。「今日は引き出しひとつ」「今日は1冊」くらいから、長い目で。

② お金を整理する

預貯金、有価証券、不動産、保険、年金、ネット銀行、暗号資産。
まずはどこに何があるかを、ご自身で一覧にしてみる作業です。プラスもマイナスも含めて見える化することで、「これからのお金の使い方の優先順位」が自然と整います。

③ 遺言書を作成する

独身で法定相続人がいない場合、財産は最終的に国に帰属することになります。「お世話になった人へ」「特定の団体へ」など意思を反映させたい方は、公正証書遺言として残すのがおすすめです。

費用は数万円〜十数万円ですが、確実に意思が残ります。司法書士・行政書士・弁護士など、専門家への相談を最初から想定に入れましょう。

④ 葬儀やお墓を生前契約する

葬儀や納骨を、生前に契約しておく方法があります。家族葬、一日葬、直葬、樹木葬、海洋散骨、永代供養。選択肢はぐっと増えました。

生前契約しておくと、いざという時に第三者が困らずに済みます。費用も含めて、納得のいく形を、お元気なうちに選んでおきましょう。

⑤ 必要なら墓じまいを進める

先祖代々のお墓があるが継承者がいない場合、生前に墓じまいを進める選択肢があります。

お寺との関係、改葬手続き、費用など、ひとりで進めるのが難しい場合は、行政書士や石材業者、自治体の窓口に相談しながら段階的に進めると安心です。

⑥ 任意後見制度の手続きをする

判断能力が落ちてきたときに、財産管理や生活上の手続きを誰に任せるか。これを判断能力があるうちに自分で決めておく仕組みが任意後見制度です。

信頼できる親族・友人・専門家と任意後見契約を結んでおくと、いざという時に家庭裁判所が選ぶ法定後見人ではなく、自分が選んだ人にサポートしてもらえます。独身の方にとっては、心強い制度です。

⑦ エンディングノートを書く

整える内容を1冊にまとめておく場として、エンディングノートをおすすめします。

書き方のコツは、最初のページから書こうとしないこと。気になるページから少しずつ、書きたくないページは飛ばして大丈夫です。気持ちが変われば、何度でも書き直していい「育てるノート」として、長く付き合いましょう。

そして書き始める前に、ぜひ巻頭か巻末の空白ページに 「やりたいことリスト」 を1ページ書いてみてください。「もし人生があと1年だったら、何をしたい?」という問いから始めると、ノート全体の手触りが、ぐっと自分らしいものに変わります。

⑧ もしものときに使える公的な制度を確認する

日常生活自立支援事業、成年後見制度、生活保護、各種給付など、独身の方でも頼れる公的制度は意外と多くあります。

お住まいの自治体の地域包括支援センターや、社会福祉協議会の窓口で、お元気なうちに「もしものとき、どんな制度が使えますか」とひと言聞いておくだけでも、安心感が大きく変わります。

⑨ 地域や趣味のコミュニティに少しずつ参加する

「ひとりだから誰とも関わらない」というのは、終活の観点ではあまりおすすめできません。

何かあったときに気づいてくれる人、声をかけてくれる人を、ふだんから少しずつ持っておくと、暮らしの安心感がぐっと変わります。地域の集まり、趣味のサークル、自治体の見守りサービス、近所のなじみのお店。負担にならない範囲で、無理せず広げていきましょう。

⑩ 老後の生活費を計画する

年金、貯蓄、保険、必要に応じて働き続けるか。独身の場合、家族からの援助が期待しづらい分、自分のライフプランを早めに具体化しておくことが、暮らしの土台になります。

ファイナンシャルプランナーや、お住まいの自治体の無料相談を上手に活用してみてください。

独身男性・独身女性、それぞれが気をつけたいこと

独身男性が気をつけたいこと

独身男性は、家事・身の回りのことを含めた「日常生活のケア」が手薄になりやすい傾向があります。

食事、住まいの整理、健康管理、孤立感の予防。これらを自分でセルフケアできる仕組みを、お元気なうちに整えておくと、後半戦の暮らしの質が大きく変わります。地域の見守りサービスや、男性同士のコミュニティに早めに触れておくのもおすすめです。

独身女性が気をつけたいこと

独身女性は、平均寿命が長い分、「ひとりで暮らす期間」が男性より長くなる傾向があります。

内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によれば、令和5年の平均寿命は男性81.09年・女性87.14年。この差は、独身女性の終活設計ではしっかり意識しておきたいポイントです。

特に住まい・お金・介護の備えは、長期スパンで考えるのがおすすめ。早めに専門家と話して、自分なりの「長く安心できる仕組み」を整えましょう。

年代別・独身の終活ポイント

20代独身の終活ポイント

20代の独身の終活は、ライフプランの設計とほぼ同じものとして考えるのがおすすめです。

保険の見直し、SNSアカウントやデジタルデータの扱い、ライフプランに合わせた資産形成。事故や病気は年齢を選ばないので、自分の意思を残しておく仕組みづくりを、早めに軽やかに整えておきましょう。

30代独身の終活ポイント

30代独身は、仕事や住まいの環境が大きく動くタイミングです。

資産形成、保険の見直し、デジタル整理。「結婚するかもしれない」「ずっとひとりかもしれない」、どちらの未来にも対応できるよう、柔軟に整えておくのがコツです。

40代独身の終活ポイント

40代独身は、親の介護や見送りを経験しはじめる年代でもあります。

親の終活と自分の終活を、少しずつ並行して考えはじめるタイミング。エンディングノートや財産整理を、まずは「練習」のつもりで始めてみるのがおすすめです。

50代独身の終活ポイント

50代独身は、私自身が当事者として日々向き合っているところです。

体力も判断力もまだ十分にある時期。後半戦の暮らしを「自分の手でデザインする時間」として、財産整理、断捨離、エンディングノート、医療・介護の希望整理を、自分のペースで本格的に進めていきましょう。

迷ったら、まずは無料の終活相談から

独身の終活は、ひとりで進めようとすると重く感じやすいテーマです。「ひとりで抱え込まない」ことが、続けるためのいちばんのコツです。

自治体の終活窓口、社会福祉協議会、終活カウンセラー・終活ガイドの無料相談、葬儀社や司法書士事務所の初回相談など、お金をかけずに話を聞ける窓口は意外に多くあります。

私自身も、書籍 『終活スペシャリストになろう』(幻冬舎、2021年)で、頼れる相談先の見つけ方をまとめています。よろしければ手にとってみてください。

まとめ|独身の終活は、自由な「これから」を設計する時間

独身の終活は、不安を消すためにやるものではなく、ひとりだからこそ手にできる 自由なこれからを、自分の手でデザインしていく時間 です。

10のステップ、男女別・年代別のポイントは、その設計図づくりの道しるべです。気になるところから、自分のペースで、ひとつずつ。

そして、整える前にぜひ書いてみてほしいのが、「やりたいことリスト」のほうです。やりたいことが見えれば、整えるべきことも自然と輪郭を持ちます。順番をひっくり返してみる。それが、独身の終活との、いちばんしなやかな付き合い方だと、当事者として強くお伝えしたいです。

あわせて読みたい:おひとりさまの終活50代独身の終活終活とは?

書き手のことを、もう少し知っていただけたら嬉しいです。
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