「私が死んだらどうなるのだろう。色々と不安だから終活をしたいけれど、何をしたらいいのかな?でも、20代で終活をするのはさすがに早すぎるよね」
あなたは今このようにお考えでしょうか。
たしかに終活といえば、祖父母または親世代の行動のように感じますよね。
しかし、20代で終活をするのは決して早すぎではありません。
実際、ある調査では20~30代の約6割の人が終活に関心があるという結果が出ています。
参考: ガリバーオートの調査より作表
近年では、終活は「単なる死に向けた準備」だけでなく、「人生の棚卸し・再設計」の意味もあるとして、ポジティブな活動としても認知されています。
ですから、20代で終活を始めても何もおかしいことはありません。
ただ、一般的な終活と20代がやるべき終活の内容は違います。20代がやるべき終活を一覧にすると以下のようになります。
20代がやるべき終活一覧 | |
生前整理 | ・断捨離をする ・引き継いで欲しい物は分かるようにしておく ・整理整頓 |
エンディングノート | ・医療の希望について書く ・友人や知人の連絡先を書く ・銀行口座やクレジットカード、借入・貸付金について書く ・会員情報について書く ・保険について書く |
デジタル終活 | ・SNSは「自分がどうしたいか」あらかじめ決めておく ・SNSはアカウント状態別の対処法を知っておく ・LINEの大切なデータはバックアップする ・サブスクリプションは契約の自動更新機能をオフにする |
この記事では、20代の終活の基礎知識から終活の具体的なやり方まで詳しくお伝えします。
これらを押さえて終活を行うことで、現在だけでなく将来も充実させることができるので、ぜひお役立てください。
1.終活とは?20代が知っておくべき基礎知識
本章では、終活とは具体的にどのような活動をするのかをお話するとともに、20代がやっておくべき終活について掘り下げていきます。
あなたが20代で終活をすべきかどうかを判断できるように、メリットとデメリットについても触れていきますので、参考にしてください。
1-1.そもそも終活とは?
そもそも終活とは「人生の終わりのために行う活動」です。
率直に言えば、以下の2つを含む活動となります。
・死ぬまでのこと(医療の希望や所有品の整理など)
・死んだ後のこと(葬儀や墓の希望など)
一般的な終活でやる主なことは以下の通りです。
<終活でやること一例> ・葬儀や納骨方法を指定する ・エンディングノートを書く ・遺影を用意する ・財産をまとめる ・生前整理(不用品を処分する) ・医療や介護の希望を記しておく ・デジタルデータを整理する など |
これらを行うことで残された家族はとても助かりますが、一般的な終活は、あなたの親や祖父母世代向けの網羅的な内容になっています。
そこで一般的な終活と20代のみなさんがやっておくべき内容を対比表にまとめました。
一般的な終活でやること | 20代がやるべきか (◎=やるべき、△=どちらでも、×=やらなくてもOK) |
葬儀や納骨方法を指定する | × 特に希望がなければ不要 |
エンディングノートを書く | ◎ 交友関係の連絡先や医療の希望など必ず書く |
遺影を用意する | × 特に希望がなければ不要 |
財産をまとめる | △ 株や証券などがあれば必ずエンディングノートなどに記載 |
生前整理(不用品を処分する) | ◎ 身の周りのものは断捨離をしておく |
医療や介護の希望を書く | △ 医療の希望はエンディングノートに書く。介護は希望がある場合のみでOK |
デジタルデータを整理する | ◎ デジタルデータも断捨離する。必要な物は家族が分かるようにまとめる |
このことから、20代でやるべき終活は以下の3つに集約できます。
・エンディングノートを書く
・生前整理をする
・デジタルデータを整理する
やるべきことは分かっても、自分がやるかどうか決めるためには、メリットとデメリットを知る必要がありますよね。
次項では20代が終活を行うメリット3つとデメリット1つをお話していきます。
1-2.20代で終活をする3つのメリット
20代で終活をするメリットは次の3つです。
- 自分の身辺を整理することで暮らしやすくなる
- もしもの時の不安を軽減できる
- 早いうちに将来を再設計できる
いずれも終活の取り組みを行うことで得られるメリットです。
それぞれ詳しく解説していきます。
1-2-1.自分の身辺を整理することで暮らしやすくなる
1つ目のメリットは「自分の身辺を整理することで暮らしやすくなる」ことです。これは生前整理が該当します。
生前整理の代表的な活動は断捨離です。断捨離には多くのメリットがあることが知られていますが、一例を挙げると次のようになります。
<断捨離を行うことで得られるメリット一例>
・探し物に費やす時間が減る |
断捨離後に残るのは「あなたにとって大切な物」と「あなたにとって必要な物」だけです。不用品に埋もれて暮らすよりも、大切な物と必要な物に囲まれて暮らすことができれば、毎日がとても楽しそうですよね。
身辺整理(断捨離)をまとめて行うのは大変ですが、日頃から不用品はため込まない、整理整頓を心がけると無理なく実践できます。
「終活=将来のための活動」と考えがちですが、終活の取り組みは現在を快適にすることにもつながっているのです。
1-2-2.もしもの時の不安を軽減できる
2つ目のメリットは「もしもの時の不安を軽減できる」ことです。
私たち人間は致死率100%である以上、誰一人として死から逃れられません。
あなたの身に何かあった場合やいざという時には、家族や友人の助けを借りることになります。
「部屋の中に見られたくない物があるけど、片付けていない!どうしよう」
「加入している保険の証書、どこに置いたか自分でも分からない。家族が見つけられるだろうか?」
「もし脳死と判定されたら、ドナーになって誰かの役に立ちたい。家族は了承してくれるかな?」
このような不安も終活を行うことで、かなり軽減できます。
ドナーの希望は臓器提供意思表示カード(通称:ドナーカード)でも明確化できますが、家族が決断・実行するのは苦しいもの。
ですが、あなたの意思がエンディングノートに記載されていたら、「あの子はこのように考えていたのね」と遺族は心から納得できるでしょう。
1-2-3.早いうちに将来を再設計できる
3つ目のメリットは「早いうちに将来を再設計できる」ことです。
終活では「もしもの時」や「老後」について考えますが、その過程で「自分は将来どのようになりたいのか」と向き合うことになります。
・資格を手に入れて、転職したい
・将来は海外で働きたい
・理想のマイホームを建てたい
など、人それぞれ将来の希望があることでしょう。
20代の早い段階で将来について考えることで、その分、理想が現実化しやすくなります。
理想を実現するには、現状のままでよいのか、それとも別のアクションを取った方がいいのかが、はっきりするのです。もし、別のアクションが必要なら、早い段階で方向転換できることになりますよね。
将来については、一度立ち止まって考える必要があるものです。
「将来については明確な希望はない」という人にとっては、生前整理が大きな意味を持ちます。
自分にとって「必要な物」「不要な物」が明らかになることで、「自分がこれからどのように生きていたいのか」が見えやすくなるでしょう。
1-3.20代で終活をするデメリット
20代で終活をするデメリットはただ1つ、ある程度の時間がかかるということです。
日常的に整理整頓を行っている人の場合は多くの時間は必要ありませんが、物をため込んだり、整頓が苦手な人の場合には、断捨離だけでも大仕事となるかもしれません。
将来について考えたり、これまでの人生を振り返ったりしますから、どうしてもある程度の時間がかかります。
勉強や仕事、人付き合いや恋愛など、20代を取り巻く環境は忙しないもの。時間がいくらあっても足りない!ということもあるでしょう。
ですが、上手に時間を使って必要最低限の終活をしておくと、いざという時に慌てずにすみます。
2.20代での終活は早い?早くない2つの理由
20代で終活とは早すぎるイメージがあるかもしれませんが、結論から言うと、20代での終活は早くありません。
本章では、20代での終活が早くない2つの理由を解説していきます。
2-1.20~30代の約6割が「終活に関心がある」という調査結果
20代での終活が早くない1つ目の理由は、冒頭でお話した通り20~30代のおよそ6割の人が終活に興味があるという調査結果によるものです。
参考: ガリバーオートの調査より作表
これは驚くべきことですよね!必ずしも「終活=死の準備ではない」ということの裏付けでもあると考えられるでしょう。
2-2.終活はポジティブな活動
20代での終活が早くない2つ目の理由は、終活がポジティブな活動であるという認識が広がっていることです。
これまでは終活といえば、「縁起が悪い」「まだ若い20代で考える必要はないのでは?」とされやすいものでした。
しかし、近年ではマイナス・ネガティブ面だけでなく、「将来について考えることで、より自分らしく生きる」というポジティブな面が注目されているのです。
これは20代で終活を行う3つのメリットがそのまま当てはまります。
●自分の身辺を整理することで暮らしやすくなる ●もしもの時の不安を軽減できる ●自分の人生、これからどうしたいのか、必要な勉強や費用は?など、早いうちに将来を再設計できる |
「自分の人生をより充実させるには、どうしたらいいのか」
「必要な予算は?」
など、長期的な人生計画としても捉えることができるでしょう。
3.20代の終活でやるべき3つのこと
20代のみなさんがやるべき終活は大きく3つに分類できます。
①生前整理
②エンディングノート
③デジタル終活
それぞれの具体的なやり方について説明していきます。
3-1.生前整理
生前整理とは、「身の回りのもの」を整理することです。
「身の回りのもの」の中には、衣類や雑貨のほか銀行口座やカード類、オンライン上の会員情報も含まれます。
理想は、誰が見ても「どこに何があるのか」が明白な状態です。
不用品と必要な物が入りまじっていたら、必要な物を取り出すだけでも一苦労ですよね。
生前整理をしっかり行っておくことで、もしもの時の家族の負担を減らすことができます。
普段から不要な物を捨て、身軽な生活をしていくことも終活の1つと言えるでしょう。
それでは生前整理の取り組み方をご紹介していきます。
3-1-1.断捨離をする
生前整理は、断捨離によって大部分を完了させることができます。
断捨離とは、やましたひでこさんが提唱する片付け術・生活思考です。
断:いらない物を断つ(入れない) 捨:いらない物を捨てる 離:物への執着から離れる |
不要な物を家に持ち込まず、不要な物を捨てること。
さらに、物に執着せずに身軽に生活することを目指す考え方です。
断捨離の実践方法は至ってシンプル。物を必要と不要に分けて、不要な物は捨てるだけです。
とはいえ、「捨てるのはもったいない」「もしかして使うかも?」と迷っていると、作業が滞ってしまいますよね。
断捨離のポイントは、残す物の基準をあらかじめ決めておくことです。
・1年以上使っていない
・今後使う予定がない
・劣化または壊れている
・趣味に合わない
など、あなたなりの「捨てる基準」を決めておくと、作業がスムーズに進みます。
生前整理において断捨離の対象となるのは、衣類や日用品など身の回りのものすべてに加えて、下記も押さえておきましょう。
<生前整理の断捨離対象> ・ほとんど使用していない銀行口座 ・使う予定のない会員サービス ・使っていないクレジットカード ・利用していないSNSのアカウント |
放置したままになっているブログのアカウントや、利用していないショッピングサイトの会員登録などは、本人以外が知りえない情報です。
そのままにしておくことで、なりすましや不正利用の可能性がありますから、不要な物は必ず登録解除しておきましょう。
断捨離については、こちらの
「【事例あり】終活で断捨離はするべき!その理由と後悔しない断捨離方法」
で重点的に解説しています。効率良く断捨離を行いたい方は、ぜひご一読ください。
3-1-2.引き継いで欲しい物は分かるようにしておく
断捨離で残った物の中で、友人や家族に持っておいて欲しい物が出てきたら、一目で分かるようにまとめておきましょう。
引き継いで欲しい物をリストアップすることで、いざという時の後悔を少し減らすことができます。誰にどの品を渡すのかを記しておくと、家族が実行に移しやすいでしょう。
形見分けはしないけれど、大切な物(写真や思い出の品)も分かるようにまとめておきます。これは家族が誤って捨ててしまうことを防ぐためです。
もしあなたが他界した場合、残された家族は言葉では言い表せないほどの空虚感や悲しみに襲われるでしょう。深い悲しみの中、あなたが大切にしていた物を見つけることができたら、家族は少し救われるはずです。
3-1-3.整理整頓
整理整頓は必ず行っておきたい取り組みです。
部屋がごちゃごちゃでは、どこに何があるのか分からず、混乱のもとになりますよね。
もし仮にあなたが急病で入院した場合、家族や友人が入院に必要な物を病院に持ってこなければいけません。この時に保険証や保険加入証書がきちんと整理されてすぐに取り出せる状態なのか、お宝探しのように掘り起こさなければ見つからない状態なのかでは、相手の負荷は大きく異なります。
そのため、普段から整理整頓を心がけ、身軽な暮らしをしておくといざという時に慌てずに、そして周囲に負担をかけずにすみます。
3-2.エンディングノート
エンディングノートとは「自分の状態や意思、希望を伝えるノート」です。
葬儀やお墓などの希望のほか、連絡して欲しい人の情報などを家族が分かるように書き記します。
エンディングノートには法的拘束力がない分、書き方に決まりはありません。
どんな形式のものでもよく、専用のエンディングノートでもいいですし、コピー用紙に綴っても構いません。家族があなたの希望が分かりさえすればいいので、20代のうちは必要事項だけを書き記す終活にしましょう。
次項より20代が押さえておきたいエンディングノートに記載する内容をお伝えしていきます。
3-2-1.医療の希望について
医療の希望については、できるだけ明確に書いておきましょう。
なぜなら自分が動けなくなったり、意思を伝えられなくなった時に重要になるのが「どのような治療を受けたいか・受けたくないか」の判断です。
医療方針や死後の対応については、それぞれの価値観・宗教観などで大きく異なりますよね。
どんな状態になっても延命を希望する人もいれば、医師が「回復が見込めない」と判断した場合は治療を望まないなど、さまざまです。
これらは本人の希望が確認できない場合、家族と医師が「本人の希望を想像しながら進めていく」ことになります。
・終末医療を受けたい/受けたくない ・延命措置を受けたい/受けたくない ・臓器移植を受けたい/受けたくない |
どちらも家族が本人の意思を想像しながら決断するのは苦しい選択になります。
希望がある場合には、家族が苦しい思いをしなくてすむように記入しておきましょう。
また死後についても同様です。
臓器移植のドナーになりたい/なりたくない 臓器移植とは、あなたの死後、あなたの臓器を必要な人へ提供すること |
献体したい/したくない 献体とは、あなたの死後、医学や医学生の発展・学習のために遺体を提供すること ※献体希望の場合は、事前に大学などへの登録が必要 |
医療技術の進歩により、かつては難しいとされたケースでも延命ができるようになってきました。あなたの命にかかわる重要なことですが、あなたが意思を伝えられない場合は、家族が判断して決めるしかありません。これは家族にとって大きな心理的負担となります。あなたにとっても、自分の命に関する希望を貫けないという恐れもあります。
ですから、自分の命に関することは自分で決めておくのがベスト。あなた自身そして家族に後悔させないためにも、しっかり記しておきましょう。
3-2-2.友人や知人の連絡先
あなたに何かがあった場合に、連絡して欲しい友人や知人については必ず書いておきましょう。
その時に名前と連絡先だけではなく、関係性やいつ連絡すべきかなどまとめておくと、家族は非常に助かるはずです。
何かあったらすぐに連絡して欲しい人 | 親友、恋人、親戚など |
葬儀に呼びたい人 | クラスメイト、趣味の仲間、バイト先や職場で親しかった人、恩師 |
葬儀などが終わってから連絡して欲しい人 | 学校関係者、バイト先や職場の関係者など |
この時に重要になるのが、誰にでも分かるように紙に書き出しておくことです。
連絡先がスマートフォンやオンラインのアカウント上にしか残っていないという人は気を付けましょう。
特にスマートフォンはセキュリティが厳重になっており、ロック画面の解除で失敗すると情報を取り出せなくなってしまいます。
3-2-3.銀行口座やクレジットカード、借入・貸付金について
銀行口座やクレジットカード、借入金についても、エンディングノートに記載しておきましょう。
銀行口座やクレジットカードは銀行またはカード会社名と名義人の情報だけでOKです。
口座番号や暗証番号まで書いておくのはセキュリティ上、大変危険です。
エンディングノートに書き記す目的は、家族があなたの持っている口座やカードを把握すること。以後の手続きは問い合わせで完結できます。
特に、通帳がないネット銀行の口座は、家族が発見しにくいものです。こちらもアクセス番号やパスワードなどは記載せず、<○○ネットバンクに口座あり>程度で構いませんから、必ず書いておきましょう。
また、借入・貸付金も家族が気づきにくいですよね。気づいた時には督促状態で延滞金が発生ということもあります。
<借入・貸付金の記載で押さえておきたいこと>
●借入・貸付相手 |
「実は故人に100万円貸している。代わりに返済して欲しい」
「故人の高額支払いを立て替えたけど返してもらってない」
残念ながら、こういった遺族を狙った金銭にまつわる詐欺は少なくありません。
エンディングノートに借入・貸付金について明確に残すことで、家族がトラブルに巻き込まれるのを防げます。
3-2-4.会員情報について
エンディングノートに記載しておくべきなのは、会員カードが発行されないオンラインショップやサービスについてです。
特にオンラインショップで購入実績がある場合は、個人情報やカードデータが残っている可能性もあります。放置することで不正利用の危険性がありますから、会員登録しているサイトについても記載しておきましょう。
オンラインショップやサービスは、サイト名(URL)とIDの2つをエンディングノートに書きます。不正ログインを避けるために、パスワードは書かないようにしましょう。
ドラッグストアやデパート、クリーニング店など会員カードがあったり、会員カードだけでは購入できない(クレジットやプリペイド機能がない)場合は、記載がなくても問題はありません。
3-2-5.保険について
一般的に保険は、保険金の支払い対象となっても申請手続きをしなければ保険金は受け取れません。
加入保険について家族と情報をシェアしていない場合、家族はあなたの部屋で「保険加入の痕跡」を探すことになります。保険加入の痕跡が見つからなかったり、気がつかなかったりした場合は、受給権利のある保険金が受け取れないこともあります。
コツコツと支払い続けた保険なのに、受け取れないのはあまりにもったいないことですし、「保険金があれば高度医療が受けられた」「個室に入院できた」など後悔するかもしれません。
このような事態を避けるためにも、加入中の保険の情報はエンディングノートに記載しておきましょう。
3-3.デジタル終活
デジタル終活とは、スマートフォンやパソコンに保存されたデータ情報(デジタル遺品)を整理することです。
<デジタル遺品の一例> ・SNS ・LINE ・有料アプリやWebサービス ・ハードディスク ・画像データ など |
次項より、デジタル終活について、さらに掘り下げて解説していきます。
3-3-1.SNSは「自分がどうしたいか」あらかじめ決めておく
今は多くの人がSNSを日常的に利用していますよね。
SNSはアカウントごとに「死後、アカウントをどうしたいのか」決めておく必要があります。これはあなたの死後に起こりうるトラブルを防ぐためです。
故人のアカウントは、乗っ取り被害や不正利用などのトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。SNSのアカウントはユーザーが亡くなっても、自動的に削除されることがないため、故人アカウントは特に被害に遭いやすいようです。
もちろん中には、一定期間ログインしていない場合に自動的に削除となるSNSやサイトもあります。この場合は手続きが必要ないので、今回は除外して進めていきます。
SNSやネットのアカウントを放置するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・手続き不要なため、手間がかからない ・アカウントがそのまま残り、「生きた証」となる |
デメリット | ・公開した情報が悪用される
SNSによっては実名や学歴や職歴、居住地など、かなりプライベートな情報を公開している人も。これらの情報からあなたになりすましたSNSのアカウントを作り、有料サイトやワンクリック詐欺への誘導に悪用するというトラブルも起きている。架空の人物よりもリアルなアカウントを使うことで、成功率を上げることが詐欺グループの狙い。 放置されている故人のアカウントは悪用されても気がつきにくいため、注意が必要。 ・アカウントが乗っ取られ、不正利用される 本人になりすまし、SNS上の友人に送金を依頼したり、個人情報を聞き出そうとしたりするトラブルが多発。故人のSNSばかりが被害に遭うわけではないが、放置されているアカウントはIDやパスワード変更がないので、狙われやすいようとされている。 SNSのアカウントを乗っ取られてしまうと、SNSでつながっている人たちに迷惑がかかる恐れがある。 |
メリットとデメリットを理解した上で、「自分がどうしたいか」をあらかじめ決めておきましょう。
選択肢は、「放置」「削除」「追悼アカウントとして残す」の3つです。
次項でそれぞれを詳しく解説していきます。
3-3-2.SNSはアカウント状態別の対処法を知っておく
終活でできるSNSアカウントの対処法は以下の3つです。
SNSのアカウントの状態 | 対処法 |
放置(公開されたまま) | 対処不要。一定期間ログインがない場合やサービス終了などがない限りは、公開されたまま。 |
削除 | 遺族や友人がSNSの運営元にユーザーの死亡を連絡。運営元の案内に従って、ユーザーの死亡手続きをし、手続き完了後、削除となる。 削除を希望する場合は、エンディングノートにSNSの名前とID(アカウント名)を残しておく。 |
追悼アカウントに移行する | 一部のSNSで提供されているサービス。
「追悼アカウント」とは、故人のアカウントを思い出としてシェアする方法。追悼アカウントは、他の利用者からのログインを防ぐことが可能。そのため故人のプライバシーを保護することができる。 |
現段階で追悼アカウントに移行できるSNSはFacebookとInstagramの2つです。
また、ブログの中には故人のアカウントを遺族や友人が引き継げるものもあります。
いずれも運営元によって異なりますので、気になる方は利用規約をチェックして見るといいでしょう。
3-3-3.LINEは本人以外の利用NG!大切なデータはバックアップする
LINEのトークや画像などの大切なデータは、必ずバッグアップしておきましょう。
LINEのアカウントは本人以外の利用を禁じている上、携帯電話を解約したらアカウントが失われる可能性が高いからです。
<LINEデータを保存する3つの方法>
①残したいデータをLINE Keepで保存。LINE Keep内のデータを携帯電話本体かSDカード、またはクラウドなどに保存する |
LINEのアカウントは携帯番号に紐づいているため、携帯電話を解約すると故人のLINEが別の人のアカウントに切り替わるかもしれません。最短3ヶ月程度で別人のアカウントになる可能性がありますから、大切なデータは必ずLINE以外で保存しておきましょう。
3-3-4.サブスクリプションは契約の自動更新機能をオフにする
一定額の支払いでサービスを自由に利用できるサブスクリプション(通称:サブスク)は、契約の自動更新機能をオフにしましょう。
サブスクは、利用の有無にかかわらず、自動的に支払い停止となることはないようです。多くの場合は、購読は自動的に更新され、遺族が申請しないことにはアカウントは生きたまま。キャンセルしない限りはサービス継続、利用料は引き落とされることになります。
サブスクのアカウントを放置することで、あなたの死後も支払いが続き、遺族に負担をかける恐れがあります。トラブルを未然に防ぐには、契約の自動更新機能をオフにしておくことです。少し面倒ではありますが、遺族の手を煩わせないためには、契約は手動で行うようにしましょう。
<サブスクリプション一例>
・電子新聞の定期購読 |
4.過不足なく終活を行いたいなら参考にすべき記事一覧
これまでは20代の人が押さえておきたい終活についてお話してきました。
しかし、中には「きっちり自分の意思を残したい」「後悔しないようにしっかり終活したい」と考える人もいらっしゃるでしょう。
過不足なく終活を行いたい人にぜひ参考にして欲しい記事を一覧でまとめました。
知りたいこと | 参考になる記事 |
終活について | 終活の準備に必要な5項目を確認!スムーズに進めるためのポイント
|
エンディングノートについて | 【例文有り】エンディングノートの書き方をわかりやすく解説! |
この記事ではお伝えしきれなかった情報もたくさんありますので、ぜひご覧になってお役立てください。
5.悩んだら専門家に相談するのがおすすめ
実際に終活を行うにあたって「こんな時どうしたらいいの?」「誰に相談すればいいの」と悩んでしまうこともあるでしょう。特にエンディングノートはきちんと作成したいと思えば思うほど、つまずくことがたくさんあります。
そんな時にはひとりで解決しようとせず、プロの専門家に相談するのがおすすめです。
終活を知りつくしたプロに相談することで、
・時間を有効的に使える
・満足度の高い終活ができる
という2つの大きなメリットが得られます。
終活の相談窓口では終活の無料相談を行っていますから、気になる点があれば気軽に問い合わせてみてもいいでしょう。
中でも、エンディングノートの書き方については、「エンディングノートの書き方サポート」が便利です。オンライン(ZOOM)でのサポートも対応していますので、「ちゃんとエンディングノートを作りたい」という方は利用をおすすめします。
まとめ
20代で終活を始めても、決して早すぎないことがお分かりいただけたかと思います。
終活は単なる「死の準備」ではなく、未来につながる「人生をより良くする」ために行うものです。
シニア層と同じようなしっかりした終活までは必要ありませんが、
・いざという時に後悔したくない
・家族や友人に迷惑をかけたくない
・自分の希望する人生を歩みたい
という方は、日常的に終活に取り組んでみてもいいでしょう。
最後に20代の終活についておさらいをしましょう。
・終活はいつ始めてもいい
・20代の終活には「暮らしやすくなる」「将来の不安軽減」「未来をより良く設計できる」の3つのメリットがある ・20代の終活でやるべき終活は「生前整理」「エンディングノート」「デジタル終活」の3つ ・悩んだ場合は専門家に相談するという選択肢もある |
この記事があなたの終活にとってお役に立てることを祈っています!