「エンディングノートって、結局なんなんだろう?」
夜、スマホで終活を調べていて、この言葉に何度も出会う。けれど、ぴんとこないまま画面を閉じてしまう。そんな経験はありませんか。
シンプルに答えると、エンディングノートは「自分の希望や情報を書きとめておく1冊のノート」です。けれど、その役割は実はそれだけではありません。とくに、家族がいないおひとりさまの方にとっては、市販の解説とは少し違う使い道が見えてきます。
私自身、50代でバツイチ・おひとりさま。終活協議会の活動でたくさんの方とお話してきた経験から、エンディングノートには 「家族への申し送り」「自分との対話」「日々の備忘録」 という3つの顔があると考えています。この3つを切り分けて使うと、エンディングノートが、ぐっと身近で実用的なものになります。
このブログ「終活はじめの一歩」では、この3つの顔を軸に、エンディングノートをやさしく解説していきます。
エンディングノートとは?
エンディングノートは、自分の希望や、いざという時に必要となる情報を書きとめておくノートのことです。
葬儀やお墓の希望、医療や介護の希望、財産や連絡先、家族や大切な人へのメッセージ。法的な書類ではありませんが、本人の意思を「文字として残しておく」場所として、いま広く使われています。
2000年代後半から「終活」という言葉が広まり、2011年公開の映画『エンディングノート』をきっかけに知名度が一気に上がりました。書店、文具店、保険会社、自治体、葬儀社など、いまは何種類も世に出ています。
エンディングノートを書く目的は、ひとつではありません
多くのサイトでは「家族に迷惑をかけないため」を目的に挙げています。これは大切な側面ですが、私はそれだけだと、書き始めるモチベーションが続きにくいと感じています。
実際に書いてみるとわかるのですが、エンディングノートは、書きながら自分自身の輪郭が見えてくるノートです。「自分は何を大切にしてきたか」「これからどう過ごしたいか」を考えるきっかけになる。だから私は、エンディングノートは 「これからをどう生きたいか」を確認するためのノート でもあると、強くお伝えしています。
エンディングノートに法的効力はない
ひとつだけ、最初に押さえておきたいポイントがあります。エンディングノートには法的効力がないということです。
相続や財産分与に関わる希望を確実に残したい場合は、公正証書遺言など正式な遺言書として書く必要があります。エンディングノートには「気持ち」を、遺言書には「法的な意思」を、というのが基本的な使い分けです。
3つの利用シーンで分かるエンディングノートの役割
エンディングノートは「自分が亡くなったあと」のためだけのものではありません。3つの利用シーンに分けて見ると、想像以上に幅広く役立つことがわかります。
シーン①【死後】遺族に希望や重要情報を伝えられる
もっとも一般的に知られている使い方です。
葬儀のスタイル、お墓の希望、財産の保管場所、相続への想い、訃報を伝えてほしい人の連絡先、大切な人へのメッセージ。本人にしかわからない情報を、ひとまとめにして家族や信頼できる人に届けるための「申し送り帳」になります。
シーン②【意思疎通困難時】自分の状況や希望を伝えられる
意外と語られないのが、生きている間に意思疎通が難しくなったときの役割です。
入院や事故、認知症の進行などで、自分の口から希望を伝えることができなくなる場面は、誰にでも起こり得ます。延命治療や告知の希望、かかりつけ医、宗教観、知らせてほしい人の連絡先。あらかじめノートに書いておくことで、家族や医療者が判断する際の道しるべになります。
シーン③【生前も】大切な情報をまとめた備忘録として使える
そして、私がいちばん語りたいのが、生きているいまの自分のための役割です。
保険、口座、サブスク、ネット上のアカウントとパスワード、医療情報、ペットのこと、家のメンテナンス記録。これらを1冊にまとめておくと、いざという時の家族の負担が減るだけでなく、日々の自分の暮らしの管理がぐっと楽になります。
私自身、自分のエンディングノートをこの「備忘録」として使い始めてから、サブスクの重複契約に気づいて整理できたり、保険プランを見直せたりと、いまの暮らしのほうがすっきり整ってきました。
エンディングノートを始めるための3ステップ
ステップ① 自分に合う1冊を選ぶ
書店、文具店、自治体の無料配布、保険会社や葬儀社の無料ノート、ダウンロード版、アプリ。いまは選択肢がたくさんあります。
迷ったときは、「全部書きたくなる立派な1冊」よりも、「気軽に開ける軽さがある1冊」を選ぶのが、続けるコツです。文具メーカーから出ている市販のノートは、書きやすさで定番として広く支持されています。
ステップ② 気になるページから少しずつ書く
最初のページから順に書く必要はありません。目次を眺めて、気になるページから1ページずつ。書きたくないページは、いまは飛ばして大丈夫です。
そして、書く前にひとつだけ、おすすめのページがあります。それは、巻頭または巻末に「自分のやりたいことリスト」を1ページだけ書き出してみることです。「もし人生があと1年だったら、何をしたい?」「ずっと気になっていたけれど、まだ手をつけていないことは?」こうした問いに答えていくと、ノート全体の手触りが、事務作業から「これからのデザイン」へと変わります。
ステップ③ 親しい人にノートの存在を伝える
せっかく書いても、家族や信頼できる人がノートの存在を知らなければ、いざという時に活きてきません。
保管場所と、誰に渡したいかをひと言伝えておきましょう。「ここに、私のノートがあるからね」という、ささやかな一言で十分です。
迷ったら、プロの手を借りる
相続、税金、不動産、介護、医療。エンディングノートを書き進めていくと、自分ひとりでは判断が難しいテーマが必ず出てきます。
そんなときに頼れる先には、自治体の終活窓口、終活カウンセラー・終活ガイドの無料相談、司法書士・行政書士・弁護士・税理士、ファイナンシャルプランナーなどがあります。「ひとりで抱え込まない」こと自体が、エンディングノートを長く書き続けていくいちばんの味方です。
私自身も、書籍 『終活スペシャリストになろう』(幻冬舎、2021年)で、終活を仕事にしたい方向けの考え方をまとめています。エンディングノートをご自身で書くだけでなく、誰かを支えたい方にも、お役立ていただける1冊です。
まとめ|エンディングノートは、「これから」を整える1冊
エンディングノートは、「家族への申し送り」「自分との対話」「日々の備忘録」という3つの顔を持つノートです。「もしものとき」だけではなく、いまを生きる自分のためにも、ずっと役に立ってくれます。
完璧に書き上げる必要はありません。気になるページから、自分のペースで、何度でも書き直していい。書き上げるノートではなく、人生の節目ごとに育てていくノート。それが、エンディングノートとの長い付き合い方です。
このブログ「終活はじめの一歩」では、はじめての方が無理なく踏み出せる「やりたいことリスト」としての終活を、これからもやさしく綴っていきます。
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書き手のことを、もう少し知っていただけたら嬉しいです。
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