「エンディングノートには、結局どんなことを書けばいいの?」
これは現場でも、本当に多くいただく質問です。とくに、家族がいないおひとりさまの方からは、「家族向けの項目ばかりで、自分は何を書けばいいのか分からない」という声をよくいただきます。
市販のノートはたくさん種類がありますが、書く中身の本質は、おおむね2つに分けられます。「家族のための内容」と「自分のための内容」です。
世間のサイトの多くは「家族のため」を中心に項目を紹介していますが、私自身、50代のおひとりさまとして、また終活協議会の活動を通じて、「自分のための内容」をしっかり書いておくことが、長く続けるためのいちばんの鍵だと感じています。
このブログ「終活はじめの一歩」では、2つの軸からエンディングノートに書く内容を整理してご紹介します。
エンディングノートに書く内容は、2つの軸で考える
エンディングノートに書く中身を、私はいつも2つの軸で整理してお伝えしています。
ひとつは、家族や周囲のための内容。もしものとき、残された人が困らないようにする情報や希望です。
もうひとつは、自分のための内容。書きながら、自分自身のこれからを考えるための問いや記録です。
多くのエンディングノートは前者中心に作られていますが、後者を1〜2ページ加えるだけで、ノートとの付き合い方が大きく変わります。
家族のために書く、10のテーマ
まずは、家族や周囲のための内容です。エンディングノートの「申し送り帳」としての役割を支える、基本の10項目をご紹介します。
① 自分についての基本情報
生年月日、本籍、家族構成、健康情報、持病、アレルギー、かかりつけ医、飲んでいる薬。緊急時に家族や救急隊員が迷わないための情報です。
② 日常の契約などの個人情報
銀行口座、クレジットカード、ローン、サブスク、ネット銀行、保険、年金。「いまどこに何があるか」を、ひとまとめにします。パスワードはノートに直接書かず、別紙にして金庫や別ファイルで保管しましょう。
③ 介護についての希望
「どこで、誰に、どのように介護してもらいたいか」。自宅か施設か、家族か外部サービスか、費用の見通しは。家族にとっていちばん判断に迷うテーマだからこそ、書き残しておく価値が大きいページです。
④ 医療や延命治療について
かかりつけ医、延命治療や告知の希望、もしものときに行ってほしい病院、臓器提供の意思。
ここを白紙にしたまま意思疎通が難しくなると、家族が大きな決断を迫られます。「自分はこう思っている」を、ひと言だけでも書いておきましょう。
⑤ 葬儀や納骨についての希望
葬儀のスタイル(家族葬・一日葬・直葬・生前葬)、お墓の形(既存の墓・新たに購入・樹木葬・海洋散骨・永代供養)、宗派、戒名の希望、遺影に使ってほしい写真。
「絶対こうしてほしくない」「これがあると嬉しい」レベルから書き出してみてください。
⑥ 知人や親戚の連絡先
訃報を伝えてほしい友人・知人、職場、お世話になった方々の連絡先。LINEだけで繋がっている方など、家族では把握できない関係は、特に書き残しておくと安心です。
⑦ 財産や相続について
預貯金、不動産、有価証券、保険、暗号資産、ローンや借金などの負債。プラスもマイナスも含めて、ご自身の財産状況を整理します。「誰に、何を、どう残したいか」も、気持ちのレベルで構わないので書いておきましょう。
⑧ 遺言書について
正式な遺言書を作成している場合は、その種類(自筆証書遺言・公正証書遺言)と保管場所をメモしておきます。
まだ作成していない場合も、「いつまでに、どんな内容で作りたいか」を書き留めておくと、専門家への相談の叩き台になります。
⑨ ペットのこと
もしものとき、ペットを世話してくれる人と、世話にかかる費用の確保。世話を引き受けてくれる人と、生前に話し合っておくことが何より大切です。おひとりさまや高齢の方にとっては、いちばん心配な項目のひとつです。
⑩ 大切な人へのメッセージ
家族、友人、お世話になった方への手紙やメッセージ。
エンディングノートを開いた家族にとって、もっとも心に残るのは、たいていこのページです。長く書く必要はありません。ひと言の感謝でも、十分に伝わります。
自分のために書く、3つのテーマ
ここからは、私が特におすすめしている「自分のために書く」内容です。家族のための10項目と並べて書くことで、ノート全体の手触りが、事務的な書類から「これからを考えるノート」へと大きく変わります。
① 自分史を書く
生まれた場所、印象に残っている時期、影響を受けた人、続けてよかったこと、転機になった出来事。
自分史は、家族のためというよりも、書きながらご自身の輪郭を見つけ直すための時間です。「自分はこういうことを大切にしてきたんだな」と気づくと、これからの選択にも、自然と自分らしさが乗ってきます。
② 家系図を書く
親、祖父母、兄弟、子ども、親戚。簡単な家系図を1枚書いておくと、相続の話の前提が見やすくなります。
お子さまやお孫さまにとっても、「自分のルーツがこういうふうに繋がっている」と知ることは、後の財産になります。
③ 「これからやりたいこと」を書く
そして、私がいちばんおすすめしたいのが、「これからやりたいこと」のページです。
「もし人生があと1年だったら、何をしたい?」「ずっと気になっていたけれど、まだ手をつけていないことは?」「今までやってきて、本当によかったことは?」こうした問いに答える形で、書いてみてください。
私自身、いまの「これからやりたいこと」の上位には、コロナで止まっていた海外への旅をマイラーとして再開すること、新しくサーフィンに挑戦すること、同じおひとりさまの仲間に経験を伝えていくことが並んでいます。やりたいことが見えてくると、葬儀やお金の項目を書くときにも、「自分にとってはこうしたい」という色が、自然と乗ってきます。
内容を充実させる工夫
写真や思い出のメモを添える
文字だけだと、書く側も読む側も、どこか他人事になりがちです。
お気に入りの写真を1枚貼る、印象に残った旅行のメモを添える、子どもや孫のエピソードをひと言書く。こうした小さな工夫が、ノートの体温を上げてくれます。
「絶対」より「できれば」で書く
「絶対こうしてほしい」と書くと、家族が動きにくくなることがあります。
「できればこうしたい」「これがあると嬉しい」くらいの温度感で書くと、家族との対話のきっかけになりやすく、終活全体がぐっとあたたかいものになります。
節目ごとに見直して、書き直す
エンディングノートは、書き上げる書類ではありません。
家族構成、資産状況、気持ちは、時間とともに変わっていきます。毎年の誕生日や年末年始に、ご自身のいまの状態と照らし合わせて、書き直していく。それが、エンディングノートとの長い付き合い方です。
まとめ|内容は「家族のため」と「自分のため」、両方を入れる
エンディングノートに書く内容を、「家族のため」と「自分のため」、2つの軸で整理してご紹介しました。
家族のためのページは、もしものときの「申し送り帳」として。自分のためのページは、書きながらこれからを考える 「自分との対話の道具」 として。両方を入れることで、ノートが、書き続けたくなる1冊になります。
完璧に書き上げる必要はありません。気になるページから、自分のペースで、何度でも書き直していい。書き終えるノートではなく、人生の節目ごとに育てていくノートとして、長く付き合っていきましょう。
このブログ「終活はじめの一歩」では、はじめての方が無理なく踏み出せる「やりたいことリスト」としての終活を、これからもやさしく綴っていきます。
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