エンディングノートの書き方|「やりたいことリスト」から始める、はじめてのガイド

コンビニで買ったまま、テーブルの隅に置きっぱなしのエンディングノート。いざペンを持って1ページ目を開いた瞬間、「えっと、何から書けばいいんだろう?」と固まってしまう。そんな方は、本当に多いです。

真面目な方ほど、ノートの先頭から順に埋めようとして、途中で疲れてしまう。とくに、家族向けの項目が続くと、おひとりさまの方は「これは自分には当てはまらないな」と手が止まりがちです。「途中で挫折した」というお話は、終活協議会の活動のなかで、何度もうかがってきました。

実は、エンディングノートの書き方には、私がおすすめしている「シンプルな順番」があります。最初に書くのは、項目情報ではなく、自分の「やりたいことリスト」です。

このページでは、はじめての方が無理なく書き続けられるエンディングノートの書き方を、私の現場感覚でやさしくご紹介します。

エンディングノートを書く前に押さえておきたい3つのこと

「書き終える」ことを目的にしない

エンディングノートには、葬儀、お墓、相続、医療、人間関係、財産、メッセージ。書く項目が、たくさんあります。

はじめての方は、つい「完成させること」を目的にしてしまいがちですが、これがいちばんの挫折ポイントです。エンディングノートは、書き終えるノートではなく、人生の節目ごとに育てていく「育てるノート」です。

1ページ目から順に書かない

世間で売られているエンディングノートのほとんどは、最初のページに「自分について」が来ます。生年月日、本籍、家族構成、健康情報。

しかし、ここから書き始めると、すぐに事務的な作業に感じてしまい、気持ちが乗らないことが多いです。1ページ目から順に書こうとせず、目次を眺めて、「気になるページから」書き始めてください。

法的効力はないと、最初に理解しておく

エンディングノートに法的効力はありません。相続や財産分与に関わる希望は、公正証書遺言など正式な遺言書で残す必要があります。

エンディングノートは、「自分の気持ちや希望を伝えるノート」として、肩の力を抜いて書きましょう。

はじめての方におすすめする、書き方のステップ

ステップ① まず「やりたいことリスト」を1ページ書く

項目情報を埋める前に、ぜひ書いていただきたいのが、巻頭または巻末の余白に 「やりたいことリスト」 を1ページだけ書き出すことです。

「もし人生があと1年だったら、何をしたい?」「ずっと気になっていたけれど、まだ手をつけていないことは?」「今までやってきて、本当によかったことは?」こうした問いを、ご自身に向けてみてください。

やりたいことが見えてくると、葬儀、お墓、財産、医療、メッセージといった項目を埋めるときにも、「自分にとってはこうしたい」という色が、自然と乗ってきます。

ステップ② 気になるカテゴリから、ひとつだけ書き始める

やりたいことリストを書いたら、次は目次を眺めて、いま気になるカテゴリを1つだけ選んでみてください。

「最近、お金のことが頭にある」なら財産から。「親の見送りがあった」なら葬儀から。「ペットがいる」ならペットの欄から。気持ちが動くカテゴリから手をつけると、書き続けるエネルギーが切れにくくなります。

ステップ③ 書きたくないページは、いまは飛ばす

書きたくないページに無理して向き合う必要はありません。

「いまは書けない」と感じたページは、そのまま空けておいて、次の節目で見直してみる。気持ちが変わってから書いたほうが、その人らしい言葉が乗りやすくなります。

エンディングノートに書く10のテーマ

① 自分について

生年月日、本籍、健康情報、アレルギー、持病、保険証や運転免許の情報。基本情報のページです。

意外と忘れがちなのが、「いつもかかっている病院」と「飲んでいる薬」。緊急時に家族や救急隊員が迷わない情報として、書いておく価値が大きいです。

② 契約などの個人情報

銀行口座、クレジットカード、ローン、サブスクリプション、ネット銀行、保険、年金、不動産。

全ての契約情報を1冊にまとめておくと、いざというときの家族の負担がぐっと軽くなります。パスワードはノート本体ではなく、別紙にして金庫や別ファイルに保管するのが安全です。

③ 医療や介護について

かかりつけ医、延命治療や告知の希望、もしものときに行ってほしい病院。介護を「どこで・誰に・どのように」受けたいか。

家族にとってもっとも判断に迷うのが、この医療の意思決定です。書き残しておくだけで、家族の心の負担が大きく変わります。

④ 葬儀や納骨について

家族葬、一日葬、直葬、生前葬。お墓は、既存に入るか、新たに持つか、樹木葬や海洋散骨、永代供養を選ぶか。

「絶対こうしてほしくない」「これがあると嬉しい」レベルで書き出すと、家族との対話のきっかけにもなります。

⑤ 知人や親戚の連絡先

訃報を伝えてほしい友人・知人、職場やお世話になった方々の連絡先。LINEだけで繋がっている方など、家族では把握できない関係を、まとめておくと安心です。

⑥ 相続財産について

預貯金、不動産、有価証券、保険、暗号資産、債券。プラスもマイナスも含めて、「いまどこに、いくらあるのか」を整理します。

資産の総額が見えてくると、「これからのお金の使い方の優先順位」が、自然と整います。

⑦ 遺言書について

正式な遺言書を作成している場合は、その種類(自筆証書遺言・公正証書遺言)と保管場所をエンディングノートにメモしておきます。

まだ作成していない場合も、「いつまでに、どんな内容で作りたいか」を書き留めておくと、専門家に相談するときの叩き台になります。

⑧ ペットについて

もしものとき、ペットを世話してくれる人と費用の確保。

意外と語られないテーマですが、おひとりさまや高齢の方にとっては、いちばん心配な項目のひとつです。世話を引き受けてくれる人と、生前に話し合っておきましょう。

⑨ 大切な人へのメッセージ

家族、友人、お世話になった方への手紙やメッセージ。

エンディングノートを開いた家族にとって、もっとも心に残るのは、たいていこのページです。長く書く必要はありません。ひと言の感謝でも、十分に伝わります。

⑩ 自分史

生まれた場所、印象に残っている時期、影響を受けた人、続けてよかったこと、転機になった出来事。

これは、家族のためというよりも、書きながら自分の輪郭を見つける時間として、私はとくにおすすめしています。

年代別の書き方のヒント

20代のエンディングノートは、これからのために書く

20代の終活は、「死後の準備」よりも、これからのライフプランの設計として位置づけます。

ライフプラン、保険、SNSアカウント、デジタルデータの扱い、「人生でやりたいこと」リスト。手軽なノートを1冊用意して、人生設計の延長として書きはじめましょう。

30〜40代のエンディングノートは、人生設計のために書く

30〜40代は、結婚、出産、転職、住宅購入など、ライフイベントが大きく動く時期です。

家族構成と財産の変化に合わせて、書き直しを前提に、ゆるく更新していく感覚で。年に1〜2回、見直すリズムを作るのがおすすめです。

50代のエンディングノートは、セカンドライフの充実のために書く

50代は、私自身が「終活はじめの一歩」を始めた年代でもあります。

親の見送り、子どもの独立、仕事の節目を経て、「これからの後半戦をどう過ごすか」が、いちばん見えやすい時期です。「やりたいことリスト」を中心に置いて、その実現を支える形で項目を整えていく――この順番が、50代のエンディングノートでは特に効きます。

続けるための3つのコツ

書けるところから書く

1ページ目から順に書こうとしないこと、これがいちばんのコツです。気になるページから、ご自身のペースで。書きたくないページは、いまは飛ばして大丈夫です。

一気に完成しようと考えない

エンディングノートは、書き上げる書類ではなく、人生の節目ごとに育てていくノートです。1日で完成させる必要はありません。

毎年の誕生日や年末年始のタイミングで、ひとつずつ更新していく。それが、無理なく長く続けるリズムです。

自分が書きやすいノートを選ぶ

立派なノートを選ぶより、気軽に開ける軽さがあるノートを選ぶのがおすすめです。

書店で実物を見るときは、「項目数」より「書きやすさ」「自分の声で語れる余白の広さ」をチェックしてみてください。文具メーカー各社から出ている市販ノートは、書きやすさで定番として広く支持されています。

まとめ|エンディングノートは、自分の「これから」を整える1冊

エンディングノートを書くいちばんのコツは、「項目を埋めること」を目的にしないこと。最初に「やりたいことリスト」を1ページ書いてから、気になるカテゴリに進む。この順番だけで、書く時間がぐっと自分のものになります。

完璧に書き上げる必要はありません。気になるページから、自分のペースで、何度でも書き直していい。書き上げるノートではなく、人生の節目ごとに育てていくノート。それが、エンディングノートとの長い付き合い方です。

このブログ「終活はじめの一歩」では、はじめての方が無理なく踏み出せる「やりたいことリスト」としての終活を、これからもやさしく綴っていきます。

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書き手のことを、もう少し知っていただけたら嬉しいです。
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