「終活を始めたんだけど、写真の量が多すぎて整理の仕方がわからないので教えて欲しい」
「元気なうちに遺影を選んでおこうと思って写真を整理し始めたけど、若いころの写真を遺影に使ったらダメなの?」
終活の中でも、写真の整理方法についてはどうしていいのか悩んでしまう人が多いようです。
現在は、デジタルカメラが主流なので、よほど気に入った写真でなければプリントしないことが多いですが、かつてのフィルムカメラの時代には、プリントしなければ画像が確認できなかったため、膨大な量の写真が残っているという家庭も少なくありません。
加えて、現像フィルムまで残されていることも多く、どうしていいのか悩んでしまう人も多いようです。
そこで、この記事では、
・ 終活で写真を整理する3つのメリット
・ 【フィルム/デジタル】種類別・終活における写真整理の仕方4ステップ
・ 自分で遺影写真を選ぶ際の5つのポイント
・ 遺影写真はあらためて撮影するのがベストな3つの理由
・ 新しく遺影用の写真を撮影する3つの方法
をご紹介します。
この記事を読めば、写真の整理の仕方だけでなく、気になる遺影についてもどうしたらいいかがわかります。納得できる自分のベストショットを遺影として残す方法もわかりますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 終活で写真を整理する3つのメリット
まず最初に、終活において、写真を整理するメリットを3つご紹介します。
・自分の死後、残された家族に負担をかけずに済む
・遺影に使って欲しい写真を自分で選ぶこともできる
・認知症予防にもなる
デメリットはないのか?と気になる方もいるかもしれませんが、特にデメリットになることはありません。
強いて言えば、過去の写真を整理することで、忘れていた苦い思い出が蘇ってきたりすることはあるかもしれませんね。未整理の写真がたくさんある家庭では、写真整理が終わるまで、ある程度時間が必要になるので、始める前に時間の確保をしておいたほうがいいでしょう。
1-1. 自分の死後、残された家族に負担をかけずに済む
生前に写真整理の作業を終わらせておくことの最大のメリットは、自分の死後、残された家族に負担をかけずに済むということです。
亡くなった人が写っている写真は、残された側からしたら、一枚でも捨てたくないという気持ちになるので、処分が非常にやりづらくなります。亡くなった直後はもちろん、数年経っても写真を処分することができないという方もいらっしゃるのです。
生前に残しておきたい写真だけ残してアルバムなどに整理して保管しておけば、自分の死後に家族が写真整理で大変な思いをしないで済みます。
きちんと整理されてライフヒストリーと呼べるようなアルバムが残されていれば、法事のタイミングなどに家族皆でアルバムを囲み、あなたの思い出ばなしをしてもらえることでしょう。
1-2. 遺影に使って欲しい写真を自分で選ぶこともできる
生前に写真整理を行うもうひとつのメリットは、遺影にするための写真を自分で選ぶことができるということです。
終活が盛んになる前は、「自分で自分の遺影を選ぶなんて縁起でもない」と避けられていました。しかし、実際は遺影にする写真がないまま亡くなってしまうと、残された家族に負担がかかってしまうというデメリットが大きかったのです。
遺影写真は葬儀に必要になるので葬儀の日までに準備しなくてはなりません。通常、お通夜から葬儀まで2日程度しか準備の時間がないため、遺影用の写真が選んでなかった場合は残された家族が大急ぎでアルバムなどから遺影にできそうな写真を選ぶことになります。
あらかじめ、遺影にできそうな写真を数枚選んで家族に渡しておけば、自分も家族も安心できますし、自分が亡くなった後、家族が毎日拝むことになる写真はベストショットのほうがいいですよね。
生前、きちんと写真を整理しておけば、遺影用の写真も準備することができるのです。
1-3. 認知症予防にもなる
生前写真整理を行うことは、認知症予防にもなると言われています。過去の写真を眺めることで、記憶を呼び覚ますからです。
この後の章で、具体的な写真整理の方法をご紹介しますが、写真を年代別に分類する作業を行うことで、忘れていた出来事を思い出したり、「この写真はいつ頃撮影したかしら?」と記憶を呼び戻そうとすることで、錆びついた脳を活性化させます。
画像は文字と違って情報量が多いため、懐かしい記憶がたくさん蘇ってくると思います。写真を見ながら自分の過去の歴史を振り返ることにもなりますので、写真を整理しながら思い出したことはメモなどに書き記しておくと、エンディングノート作成の際にも役立てることができて一石二鳥です。
2. 【フィルム/デジタル】種類別・終活における写真整理の仕方4ステップ
終活における写真整理の仕方をご紹介します。
デジタルカメラが一般的に普及したのは1990年ごろで、それ以前はフィルム撮影、以降はデジタル撮影に切り替わっていると思われますので、2つそれぞれの整理の仕方を分けてご紹介します。
フィルム撮影の写真も、デジタル撮影の写真も、整理の仕方の流れは基本的に同じです。
①現像やプリントを行う
②年代ごとに分類する
③取捨選択する
④残すことに決めた写真をアルバムにまとめる
最近では現像フィルムをデジタル化することも可能になっていますし、デジタル撮影した画像もプリントせずに残す方法もできましたので、そちらも合わせてご紹介します。
2-1. フィルム撮影した写真の整理の仕方
フィルムで撮影した写真の整理方法です。先ほどご紹介した4つのステップごとに具体的にご紹介します。
2-1-1. 現像やプリントを行う
現像していないフィルムが残っているようであれば、現像してプリントまでしてみましょう。デジタル撮影と違ってフィルムの場合はネガで残っているので、いったんプリントして画像を確認しないと、どんなものが写っているのか判断しづらいからです。
費用もかかりますし時間もかかりますが、「あの頃のあの時のあの瞬間だ!」と記憶がよみがえるような写真がみつかるかもしれませんので、未現像のフィルムが見つかった場合は、面倒くさがらずに現像とプリントをしてみることをおすすめします。
2-1-2. 年代ごとに分類する
家中に散在していた写真をだいたい収集できたなら、次は年代ごとに分類する作業に入ります。
すでにアルバムになっている写真であれば、年代別に貼られているはずなのでそれほど分類に手間取ることはないでしょう。
問題はバラで保存されていた写真です。写っている建物や風景から年代を探るほか、モノクロ写真かカラー写真かなどから判断しましょう。カメラの機能も進化してきているので、比較的新しい写真には日付が写っていることが多く、そこから判別できたりします。
分類を厳密にやろうとすると余計に時間がかかってしまいますので、少しくらいのズレは気にせずに分類作業を終えましょう。
2-1-3. 取捨選択する
年代ごとに分類できたら取捨選択を行います。捨てる作業は迷いが出やすく時間がかかってしまいますので、年代ごとに残す枚数を決めるなど、自分のルールを最初に決めてしまったほうがやりやすくなります。
おすすめは、10代、20代、30代、と年代ごとにアルバムを作り、ベストショットから貼っていき、入りきらなかった写真は潔く捨てるといった方法です。
入学式や結婚式、出産など、写真が多めに残っているイベントは、イベントごとにアルバムをまとめるなど工夫をしてみましょう。
【現像したフィルムの処分について】
フィルムの処分は頭を悩ませるところでしょう。フィルムを捨ててしまったら、永遠に同じ写真をプリントすることはできなくなってしまうからです。またフィルムも経年によって劣化していきますので、ある程度の年月が経ってしまったら写真をプリントすることも不可能になります。
残しておきたいフィルムは、費用がかかりますが、できれば次の章でご紹介するデジタル化サービスの利用をおすすめします。
2-1-4. 残すことに決めた写真をアルバムにまとめる
残すことに決めた写真はアルバムにまとめます。紙のアルバムは長期間保存すると劣化しますので、製本がしっかりしていて長期間保存に耐えられる頑丈なアルバムを選びましょう。
オススメの写真保存用のアルバムをご紹介します。
◉ビス式フォトブック
フエルアルバムと言えば、昔から写真用のアルバムとして定番の商品でしたが、今はさらに進化したアルバムを提供しています。ビス式を採用したシート(ページ)を後から増やせるフォトブックです。
ビスを外して、簡単にページの追加や差し替えができ、オプション品を利用すれば旅券やチケットなど、写真以外の思い出も一冊にまとめておくことができます。
参考:増やせるフォトブック・アルバム | FUERU(フエル)
◉写真集作成
こちらはアルバムに写真を貼って保存するのではなく、書店で売っているような写真集として一冊の本にすることができるサービスです。
写真撮影が趣味の方など、テーマを決めて撮影した写真がたくさんある方にはおすすめです。複数作成することができるので、贈答用にすることもできます。
参考:高画質フォトブック・写真アルバムの作成・注文ならマイブック
◉フィルムスキャンサービス
フィルムをデジタル化して保存しておきたい方はこちらのフィルムスキャンサービスをおすすめします。
デジタル化しておけば、フィルムを捨ててしまっても、半永久的に画像を保存しておくことができます。
参考:写真フィルムのスキャン、DVD・デジタル化 | 富士フイルム
2-2. デジタル撮影した写真の整理の仕方
次にデジタル撮影した写真の整理の仕方です。
①紙で残したい場合はプリントを行う
②年代ごとに分類する
③取捨選択する
④残すことに決めた写真をアルバムにまとめる
デジタル撮影した写真も基本はフィルム撮影した写真と同じステップですが、デジタルのほうが紙で保存していないことが多いので楽だと思います。
デジタル撮影した写真をプリントして残すか、デジタル情報のままで残すかを決めてからスタートしましょう。
2-2-1. 紙で残したい場合はプリントを行う
デジタル撮影した画像は、現像の必要はありませんが、紙のアルバムとして残したい場合はプリントをする必要があります。
プリントして紙のアルバムにすることによって、フィルム撮影した写真のアルバムとまとめることができるので統一感が出せますが手間がかかります。デジタル撮影した写真をプリントして残す場合は、この後の作業は前章を参考にしてください。
プリントをせずに、デジタル情報のままでアルバムにすることも可能です。こちらは年代別に分類する手間もほとんどいらないので手軽です。
2-2-1. 年代ごとに分類する
デジタル撮影した画像は、画像情報として撮影した日時の記録が残されているので、分類は基本的に必要がありません。
しかし、デジカメで撮影した画像とスマホのカメラで撮影した画像の保管場所がバラバラだったりすることもあるので、写真アプリなどを利用してひとつのファイルにまとめて、年代順に並べなおす必要があります。
この作業はスマホでやるよりもパソコンを利用したほうがいいでしょう。スマホの機種によってはデータ保存ができる容量が少なくて、画像の保存が大量にできない場合もあるからです。
スマホとデジカメ内部に保存されている画像は一旦パソコンなどに全て移動させてから、写真アプリを使って分類しましょう。
【おすすめの写真アプリ】
◉Google フォト(無料:アプリ内課金あり)
アプリダウンロード
App Store→ 「Google フォト」をApp Storeで
Google Play→ Google フォト
非常に知名度の高いアプリなので、スマホの利用者であればすでに利用中という方も多いかもしれません。容量無制限で無料で利用できます。
スマホとパソコン間の連携がスムーズにできるのでストレスなく写真の整理ができます。
アップロードした写真は、ある程度自動的にタグ付けされるので、見たい写真を検索することが楽にできますし、自動でフォルダ分けを行ってくれたり、手動でアルバム作成もできるので、大量に写真がある場合でも楽に整理ができます。
無料版を利用する場合は、画質を推奨サイズまで落とす必要があります。高解像度で保存したいのであれば有料版の利用をおすすめします。
2-2-1. 取捨選択する
写真の分類をしながら取捨選択も同時に行いましょう。
デジタル撮影した写真は写真アプリなどを利用すれば無料で大量に保存しておくことができるので、取捨選択しなくてもいいと思われるかもしれませんが、写真アプリのサービス提供が永遠に続くとは誰も保証できません。自分が亡くなった後にサービス提供が打ち切られるかもしれないと、ある程度想定しておくべきです。
ベストショットを選んでひとつのファイルにまとめておくことは必ずしておきましょう。
ベストショットだけをひとつのファイルにまとめておけば、最悪、将来的に写真アプリの提供が打ち切られたとしても、ファイルのデータをスマホやパソコンのストレージに移動させればいいので簡単ですし、次の章でご紹介する自分のライフヒストリーを振り返るアルバムづくりをしたい場合などにもスムーズに行えます。
2-2-1. 残すことに決めた写真をアルバムにまとめる
プリントアウトして残すことにした画像は、フィルム撮影した時と同じようにアルバムにまとめます。
デジタル情報のままでアルバムを作成する方法もあります。ここでは3つの方法をご紹介します。
◉自分でDVDやCDアルバムを作成する
ベストショットをまとめたものはCDやDVDにまとめてデジタルアルバムに加工することもできます。やり方はパソコンから保存したいファイルを選んで記録用のCDもしくはDVDに保存するだけです。
CDやDVD形式のアルバムにしておけば、複製して配ることもできます。
◉デジタルフォトフレーム
デジタルフォトフレームとは、スマホやデジタルカメラで撮った写真をスライドショー形式で表示することができるインテリア家電です。1台あれば、複数の写真をスライドのように流して映してくれるので、たくさんの写真をスペースを使わずに飾りたいときなどにおすすめです。
デジタルフォトフレームを使えば、アルバムにまとめた写真をいつでも眺めることができますので、家族にプレゼントするのもおすすめです。
価格相場はフレームの大きさや機能などによって大きく変わり、1,000円台から1万円を超えるものもあります。
参考商品:ソニー SONY デジタルフォトフレーム S-Frame D720 7.0型 内蔵メモリー2GB ブラック DPF-D720/B
◉写真専用の外部ストレージ(ハードディスク)を利用する
パソコンが苦手という方は、写真の整理や保存ができる専用の外部ストレージを購入するという手もあります。価格は最低でも2万円以上しますが、パソコン不要で写真整理ができ、操作はリモコンで行えるので非常に楽です。撮影日時の情報を読み取って自動で並べ替えをしてくれる機能もあります。
もちろん、アルバム作成もラクラクできます。
テレビにつないで家族全員で写真を鑑賞することもできますし、専用のスマホアプリもあるので、保存している写真を出先で見たり整理することも可能で、離れたところに住んでいる家族もスマホから鑑賞できます。プリンターにも繋げられるのでプリントしたい写真を選んでプリントすることもできます。
3. 自分で遺影写真を選ぶ際の5つのポイント
過去の写真を整理していると、遺影についても気になり始めると思い始めます。そこで、自分の遺影写真を自ら選ぶ際の5つのポイントをご紹介します。
・なるべく自分が大きく写っている写真を選ぶ
・カメラ目線でピントが合った写真を選ぶ
・自分らしさがよく出ている写真を選ぶ
・記念日や旅行先で撮影した写真を選ぶ
・できるだけ最近撮影した写真を選ぶ
「たった1枚のベストショット」を選ぶというのは、非常に難しい作業になってしまうでしょうから、候補を数枚用意しておき、最終的には子や配偶者などに選んでもらうのがおすすめです。
遺影写真については、こちらの記事も参考にしてください。
『生前予約』葬儀の準備は生きている時から考えよう!終活とお葬式について
3-1. なるべく自分が大きく写っている写真を選ぶ
遺影にする写真は、できるだけ自分が大きく写っている写真を選ぶようにしましょう。
葬儀の際に祭壇正面に飾ったり、葬儀の後に仏間の欄間などに飾る遺影のサイズは、一般的に以下の2つになります。
・A4サイズ 210mm x 297mm
・四つ切りサイズ 254mm × 305mm
A4はノートのサイズなどにもあるのでイメージしやすいと思いますが、かなり大きいサイズです。通常、小さいサイズの写真を大きく引き伸ばして遺影にしますから、大きく写っていれば写っているほど遺影写真はハッキリとした画像になります。
3-2. カメラ目線でピントが合った写真を選ぶ
遺影写真にする写真は、カメラ目線でピントが合った写真を選びましょう。遺影はかなり大きなサイズになるので、ピンボケというだけで遺影には不向きです。遺影にするため拡大したときに、ボケた写真はさらにボケてしまうからです。
カメラ目線の写真を選ぶのは、遺影を見た人に対する印象を強くするためです。わたしたちが通常、会話をかわす際にも、視線を合わせていないと不安になってしまいますよね? そっぽを向いた人と会話をすることはあまりないと思います。
遺影写真がしっかりとこちらを向いているカメラ目線であれば、焼香の際などに、参列した人が故人と目と目を合わせることができ、気持ちを通わせることができます。家族が自宅に遺影を飾る際にも、カメラ目線で、こちらにしっかりと目線がきている方が安心します。
3-3. 自分らしさがよく出ている写真を選ぶ
できるだけ、自然でリラックスした雰囲気で撮影した、自分らしさが出ている写真を選びましょう。趣味を楽しんでいる場での写真、楽しい家族だんらんを写した写真などから選ぶといいかもしれません。
昔は終活という習慣もなかったため、死後、遺族が遺影を選ぼうとしたら免許証などの証明写真しかなったという人もいます。証明写真では表情も固いですし、よそよそしい雰囲気で近寄りがたい感じになります。
笑顔の写真が見つかればベストですが、笑顔でなければいけないわけではありません。仕事一筋で生きてきた人なら、職場で真剣な表情で仕事をしている写真でもいいのです。
3-4. 記念日や旅行先で撮影した写真を選ぶ
3-3.の続きになりますが、記念日や旅行先で撮影した写真も自分らしさがよく出ているのでおすすめです。リラックスした雰囲気の中で撮影された写真なので、自分らしさがよく出ている写真が多いからです。
特に記念日なら正装していることも多いですし、そのまま遺影写真に使えるケースもあるでしょう。旅行先での写真は、日常を離れてオープンな雰囲気の中でリラックスした表情で撮影されていることも多いので遺影写真に向いています。
3-5. できるだけ最近撮影した写真を選ぶ
遺影にする写真は、できるだけ最近撮影した写真を選ぶことも大切です。なぜなら、亡くなった時期に近い写真のほうが、残された人の記憶とズレることがないからです。
若い頃の写真を遺影にしたい気持ちもわかりますが、避けた方がいいでしょう。たとえば、あなたができるだけ遺影は若い頃の写真がいいと、30歳ごろの写真を選んだとします。自分としては満足かもしれませんが、残された人が遺影を見たときに、30歳以降のあなたをなかなか思い出せなくなってしまいます。
また、あなたの死後、あなたと親しくなかった人が遺影を見たときに、若くして亡くなった人だと誤解する可能性もあります。
遺影写真は、あなたが生きてきた証のようなものですから、できるだけ最近撮影した写真を選ぶようにしてください。
4. 遺影写真はあらためて撮影するのがベストな3つの理由
遺影に使う写真は、過去の写真でもかまいませんが、できればあらためて撮影することをおすすめします。なぜなら、新たに撮影したほうがメリットが多いからです。
ここでは、遺影写真をあらたに撮影することがベストな理由を3つご紹介します。
・納得のいく遺影写真を準備できる
・家族が葬儀の準備であわてることがなくなる
・生前の記念写真となる
自分の死後、家族や友人が毎日のように目にすることになる遺影ですから、やはりベストショットがいいですよね。改めて撮影することで納得のいく遺影写真が用意できるでしょう。
4-1. 納得のいく遺影写真を準備できる
新たに遺影写真を撮影する一番のメリットは、自分が納得のいく遺影写真を準備することができるということです。
過去の写真整理を始めてみると、意外にベストショットを選ぶのは難しいことに気づくと思います。表情はベストでもピンボケだったり、カメラ目線になっていなかったりと、「遺影にするのはコレだ!」と満足できる写真を見つけ出すのはなかなか骨の折れる作業になります。
プロが撮影した記念写真であっても、集合写真の場合、自分の顔はとても小さく写っているので、引き伸ばしてみるとボケていてがっかりしてしまうといったことが多くあります。
新たに撮影すれば、最新の技術を搭載したデジタルカメラで撮影できるので、鮮明な写真が用意できます。プロに撮影を依頼すれば、あなたがとても素敵に映るように光の加減などを調整してくれるので、満足できる遺影が用意できます。
4-2. 家族が葬儀の準備であわてることがなくなる
遺影写真をあらためて撮影して用意しておくことで、家族が葬儀の準備に慌てることがなくなります。
通常、通夜から葬儀が開催されるまでは、2日程度しか準備にかける期間がありません。遺影にするための写真がない場合、残された家族は葬儀までに、家のあちこちを探し回ることになります。葬儀の準備は、遺影を準備する以外にもたくさんのやることがあるので、遺影探しはとても大変な作業になります。
生前に遺影用の写真を撮影しておけば、すぐに取り出すことができるようになりますし、複数枚写真が用意されていれば、遺影写真として使用する写真の選択肢も増えるので家族は安心です。
4-3. 生前の記念写真となる
あらたに遺影用に撮影すると言っても、人生最後の撮影だ、といった悲壮感を持つ必要はありません。人生の節目に記念写真を撮影するような気持ちで行いましょう。
人間の寿命は、自分にもわかりませんし他人にもわかるものではありませんから、遺影用に撮影してから10年も20年も長生きする方もいるはずです。それでも、あらためて遺影に使えるようにと撮影をしておけば、それだけで安心できますし、人生の区切りとしてひとつの記念写真になります。
できれば、シニア世代は、定期的に記念撮影をすることをおすすめします。
毎年の元旦や誕生日など決まった日に、自分の記念撮影をしておくことで、人生の締めくくりのライフヒストリーを作ることができます。もちろん、単独撮影だけでなく、家族や友人と一緒にたくさん撮影しましょう。
亡くなった後は、その写真の中から遺影を選んでもらうことができます。
5.新しく遺影用の写真を撮影する3つの方法
遺影用の写真をあらたに用意する方法は3つあります。
①自分で撮影する
②フォトスタジオなどでプロカメラマンに撮影してもらう
③終活イベント内の遺影撮影会で撮影してもらう
それぞれのオススメの人をまとめました。
オススメの人 | |
自分で撮影する | ・お金をあまりかけずに遺影を用意したい人
・元から写真・カメラが趣味で撮影についての知識がある人 ・自撮りが好き・趣味の人 ・リラックスした雰囲気の中で納得するまで撮影したい人 |
フォトスタジオなどで
プロカメラマンに撮影してもらう
|
・遺影撮影にはお金をかけたい人
・プロが撮影した写真を遺影に使いたい人 ・メイク・ヘアセットなどもプロにお願いしたい人 ・納得がいくまで時間をかけて撮影したい人 |
終活イベント内の
遺影撮影会で撮影してもらう |
・手軽に遺影を用意したい人
・遺影撮影とはどんなものか体験してみたい人 |
どれかひとつを選ばなくてはいけないわけではありません。時間や費用に余裕があるのであれば、3つすべてを試してみて、そのなかからベストショットを選ぶのもおすすめです。
5-1. 自分で撮影する
いちばん手軽にできるのは自分で撮影する方法です。写真撮影が趣味の人であれば、カメラもすでにありますし、カメラを固定する三脚なども持っていると思いますのですぐにでも撮影できるでしょう。
カメラを持っていない方でも、スマートフォンのカメラ機能を使えば十分に撮影ができます。ただし、自撮り棒などを使って撮影するよりも、スマホ用の三脚などでしっかり固定して撮影することをおすすめします。自撮り棒を使うと手ブレが発生する可能性があるからです。
参考商品:【4段三脚】800G-X(スマホホルダー付) 800G-X
自分1人で撮影するほか、友人や家族、孫、ペットなどと一緒に撮影したり、お気に入りの場所に行って風景とともに撮影するなど、自由な発想で遺影を撮影することができます。
自分で遺影を撮影する際のポイントをまとめました。
かかる費用 | カメラやスマホ、三脚やレフ板など撮影に必要なアクセサリー類をすでに持っていれば、ほとんど費用はかかりません。
ただし、撮影した画像をパソコンに送信したり他人に送信する場合に通信費がかかる場合があります。大量の画像を送信する場合は注意が必要です。 |
画素数
について |
遺影用の写真は200万画素以上のデジタルカメラで撮影することが推奨されています。
最新のスマホのカメラ機能は、1,000万画素以上あるのが普通です。コンパクトデジタルカメラも、最新のものであれば最低でも800万画素はあります。
購入時期が古いデジカメの場合は、画素数が200万に満たない機種もあるようです。
2005年前後に購入した古いデジタルカメラをお持ちの方は、カメラの画素数を一度チェックしたほうがいいでしょう。
写真撮影が趣味でフィルム撮影をしている方もいるかもしれません。
フィルム撮影にこだわりたい方は、できるだけ鮮明な写真が撮影できるように、ポートレート撮影に適したフィルムを用意するようにしましょう。 |
5-2. フォトスタジオなどでプロカメラマンに撮影してもらう
フォトスタジオなどで、プロのカメラマンに遺影用写真を撮影してもらいます。費用もかりますし時間もかかりますが、遺影にはとびきりのベストショットを使いたいと考えているのであれば、プロのカメラマンに撮影してもらうのが一番です。
遺影をプロのカメラマンに撮影してもらう方法には
・葬儀会社に依頼して専属のカメラマンに撮影してもらう
・街のフォトスタジオに遺影写真の撮影を依頼する
の2種類があります。
葬儀会社で遺影を撮影する場合は2万五千〜3万円程度が相場となります。
葬儀会社以外のフォトスタジオの場合は1万円前後で撮影してくれるところもあります。しかし、ヘアメイクの料金や衣装の貸し出しなど、オプション料金を設定している場合が多いので、事前に料金の確認を行っておくようにしましょう。
さらに撮影後、遺影をプリントする料金も撮影プランに含まれている場合もあれば、別途請求される場合もあるので注意しましょう。
プロカメラマンに撮影してもらうメリットは3つあります。
①納得いく遺影のための写真を用意できる
写真のプロが撮影してくれるのですから、とことんこだわって撮影することができ、納得できる遺影写真を用意することができます。
亡くなった後、自分の遺影にどんな写真が使われるのかわからないのはちょっと心配ですよね。葬儀で使用される写真が自分望んでいないような写真だったらイヤだなあと思うのは自然なことです。とはいえ、亡くなってからでは自分の遺影写真を確認することは不可能です。
プロに頼んで生前に遺影を撮影しておくことで、葬儀で使用する写真を自分が納得のいくものにすることが可能になります。
②プロのアドバイスがもらえる
プロカメラマンからアドバイスがもらえるのは大きなメリットです。遺影撮影を得意としているカメラマンであれば、服装からメイク・ヘアスタイル、しぐさや表情までさまざまなアドバイスをしてもらえます。
自分で撮影するのも悪くないのですが、自分の魅力は意外にも自分でわからなかったりします。プロはあなたの隠れた魅力を引き出して、微妙な表情なども逃さず撮影をしてくれます。
③プロにメイクやヘアセットなどをしてもらえる
各フォトスタジオによって異なりますが、スタイリストやメイクアップ担当スタッフがいて、写真に映えるメイクをしてくれたり、ヘアスタイルも整えてもらえます。
自分で撮影した自然な表情の写真を遺影にするのも悪くありませんが、拡大して確認してみると、メイクが汗で落ちていたり、ヘアスタイルも風で乱れていたりと遺影にはそぐわなかったという場合も多くあります。
プロのカメラマンに撮影を依頼すると、オプション料金になることが多いですが、メイクもヘアスタイルもプロに整えてもらえるので、自信を持っていい表情で遺影を撮影することができるのです。
④画像をナチュラルな加工で若々しく修正してくれる
撮影後の画像の加工などもプロに依頼した場合と自分で加工をするのでは大きな違いが出ます。(画像の修正・加工は基本的に有料となります)
最近ではスマホの写真加工アプリが人気ですが、若年層向けの手軽に加工ができるアプリということもあって、過剰な修正画像になってしまい、まるで別人に見えるような不自然な画像になりやすい傾向があります。
その点、プロの画像修正のテクニックは熟練しているので、シニアらしさを残しつつも、シワやシミなどは自然に見えるように修正をしてくれます。
ナチュラルに若々しさを感じさせる遺影写真が欲しいのであれば、ぜひプロに撮影をお願いしましょう。
かかる費用 | 各葬儀会社・フォトスタジオによって料金プランは異なります。事前にしっかり確認するようにしてください。
・葬儀会社に依頼して専属のカメラマンに撮影してもらう →2万五千〜3万円程度 ・街のフォトスタジオに遺影写真の撮影を依頼する →1万円〜 |
注意点 | ・所要時間は1〜2時間程度
*着替えやメイクなど、準備が必要な場合はもう少し時間がかかる場合もあります
・オプションをたくさんつけると高額な出費になってしまう場合もあるので、しっかりと料金プランを確認するようにしてください。
・4〜5月や9月下旬〜10月など陽気のよい時期は撮影を希望する人が多いため、早めに予約をいれるようにしたほうがいいでしょう。 |
5-3. 終活イベント内の遺影撮影会で撮影してもらう
終活が一般的に知られるようになり、終活イベントも全国各地で盛んに行われるようになっています。終活イベント内で行われる催し物の中で人気が高いのが「遺影撮影会」です。最近では、遺影撮影がメインのイベントも増えています。
プロのメイクアップアーティストが同行してきれいにメイクしてくれるサービスがあったり、その日撮影した写真をフォトフレームに入れて遺影に仕立てて後日郵送してくれるサービスがあったりと、各イベントごとにサービス内容が大きく異なりますので、事前によく確認することが大切です。
基本的に遺影撮影会はイベント内イベントなので、無料でできることがほとんどですが、イベント参加費とは別に撮影費用を徴収される場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
費用は各イベントごとに大きく異なり、無料から5,000円前後が多く、さまざまなサービスが付属する撮影会の場合はトータルで1万円を超えることもあります。
撮影時間はだいたい1人あたり15分から20分程度です。撮影時間が短いので、人によっては満足できる写真が撮影できない場合もあります。写真の細部にまでこだわりたい方は、フォトスタジオなどでじっくりと時間をかけて撮影してもらった方がいいでしょう。
参考:生前遺影撮影会
かかる費用 | 無料〜1万円超まで
*各イベントによって異なるので事前の確認が必要 *写真のプリント代は別途請求されることが多いので注意 |
注意点 | 女性も男性もできるだけおしゃれして、イベントに参加しましょう。
・予約制だったり定員が決まっている場合があります。必ず撮影してもらいたい場合は、参加前に確認しましょう。
・ペットや家族、お孫さんなどと一緒に撮影してもらえる場合もあります。
・お着物の場合は、着付けのサービスもあります(別途費用がかかる)。
・お直しメイクサービスなどは、別途費用がかかる場合もあります。 |
6. まとめ
終活の中でも、写真の整理の作業は非常に時間も体力も使うので、先延ばししてしまいがちです。しかし、体力や認知機能が衰えてからでは、さらに大変な作業になってしまいます。
今のうちに、スタートすれば後々楽になりますし安心できます。遺影の準備もできて一石二鳥ですから、ぜひこの記事を参考にして、できるだけ時間をかけずに作業を終えましょう。
最後に自分で遺影写真を選ぶ際の5つのポイントを復習しておきましょう。
・なるべく自分が大きく写っている写真を選ぶ
・カメラ目線でピントが合った写真を選ぶ
・自分らしさがよく出ている写真を選ぶ
・記念日や旅行先で撮影した写真を選ぶ
・できるだけ最近撮影した写真を選ぶ
元気なうちに、遺影用の写真をあらたに撮影するのもおすすめです。ぜひ、自分が納得できる遺影写真を準備してください。