終活でSNSアカウントはどうする?死後のリスクと主要4大SNSの手続きを解説

  • SNSを放置すると、個人情報流出やアカウント乗っ取り、家族への精神的負担など、多くのリスクがあります。

  • SNSの終活は「アカウントのリストアップ」「残すか消すかの決定」「情報の記録」という簡単な3ステップで始められます。

  • FacebookやInstagramには「追悼アカウント」機能がありますが、X(旧Twitter)やLINEは基本的に削除のみと、プラットフォームごとに手続きが異なります。

  • エンディングノートなどを活用し、アカウント情報と自分の意思を家族に確実に伝える準備が大切です。

はじめに:あなたのSNSアカウント、死後どうなるか考えたことはありますか?

友人との交流、趣味の記録、日々の出来事の発信など、私たちの生活に深く根付いているSNS。しかし、もしもの時、あなたの大切なアカウントがどうなるか考えたことはありますか?自分が亡くなった後、残されたデジタルデータは「デジタル遺品」となり、放置されることで思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。この記事では、未来の家族に迷惑をかけないための「SNSの終活」について、具体的な手順を分かりやすく解説します。安心して準備を進めるための一歩を、ここから踏み出しましょう。

なぜSNSの終活が必要?アカウントを放置する3つの大きなリスク

「自分が死んだ後くらい、SNSのことは気にしなくても…」そう思うかもしれません。しかし、SNSアカウントの放置は、残された家族や友人にとって、想像以上の負担や危険をもたらす可能性があります。デジタル終活がなぜ重要なのか、まずはその具体的なリスクを理解することから始めましょう。ここでは、アカウントを放置することで生じる、特に大きな3つのリスクについて解説します。これらのリスクを知ることで、SNS終活の必要性をきっと実感できるはずです。

リスク1:個人情報の流出とアカウントの乗っ取り

長期間ログインされていないアカウントは、セキュリティが脆弱になりがちです。悪意のある第三者にパスワードを破られ、乗っ取られてしまう危険性があります。そうなると、ダイレクトメッセージの内容や非公開の投稿など、プライベートな情報がすべて流出してしまう恐れがあります。

リスク2:家族や友人への精神的・金銭的負担

故人のアカウントから誕生日のお祝い通知が届き、家族や友人が悲しい気持ちになるケースは少なくありません。また、SNSと連携した有料サービスやサブスクリプションに気づかず、課金が続いてしまうことも。アカウントの削除手続きは複雑な場合も多く、遺族にとって大きな負担となります。

リスク3:なりすましや誹謗中傷への悪用

乗っ取られたアカウントは、なりすましの温床になります。あなたの名前で友人や知人に詐欺メッセージが送られたり、不適切な投稿や他人への誹謗中傷に使われたりする可能性もゼロではありません。故人の名誉が傷つけられ、人間関係にまで悪影響を及ぼす最悪の事態も考えられます。

SNSの終活を始めるための基本3ステップ

SNSの終活と聞くと、何だか難しそうに感じるかもしれません。しかし、やるべきことは非常にシンプルです。複雑な手続きや専門知識は必要ありません。大切なのは、ご自身のデジタル資産をきちんと把握し、どうしたいのかという意思を明確にしておくことです。ここでは、誰でも今日から始められる基本的な3つのステップをご紹介します。このステップに沿って進めるだけで、SNS終活の第一歩は完了です。さっそく取り組んでみましょう。

ステップ1:利用しているSNSをすべてリストアップする

まずは、ご自身がアカウントを持っているSNSをすべて書き出してみましょう。FacebookやX(旧Twitter)のような主要なものだけでなく、昔登録したまま忘れているサービスがないか、スマートフォンのアプリ一覧やメールの受信箱などを確認しながら、漏れなくリストアップすることが重要です。

ステップ2:アカウントを「残す」か「消す」かを決める

次に、リストアップした各アカウントを、死後に「残したい」か「消したい(削除したい)」かを決めます。思い出の写真を残したい場合は「残す」、プライベートなやり取りが多いものは「消す」など、ご自身の考えで判断しましょう。この意思決定が、終活の核となります。

ステップ3:決定事項とログイン情報を安全な形で記録する

最後に、ステップ2で決めた内容と、手続きに必要な情報(サービス名、IDやユーザー名、メールアドレスなど)を記録します。この時、パスワードそのものを直接書き残すのは避け、安全な方法で家族に伝えられるよう工夫することが大切です。エンディングノートの活用がおすすめです。

【プラットフォーム別】主要4大SNSの死後手続きと設定方法

SNSの終活における具体的な手続きは、利用しているプラットフォームによって大きく異なります。生前に設定できるもの、死後に遺族が申請するものなど、その方法は様々です。ここでは、特に利用者が多いFacebook、X(旧Twitter)、Instagram、そしてLINEの4つの主要SNSについて、それぞれの死後手続きと設定方法を解説します。ご自身が利用しているサービスの項目を確認し、いざという時に家族が困らないよう、どのような手続きが必要になるのかを把握しておきましょう。公式ヘルプページへのリンクも参考に、最新の情報を確認することをお勧めします。

Facebook:「追悼アカウント」への移行または削除

Facebookでは、生前に「追悼アカウント管理人」を指定しておくことができます。管理人は、あなたの死後、追悼アカウントへの移行手続きや簡単な投稿を行えます。また、アカウントを完全に削除するよう設定しておくことも可能です。遺族が死亡証明書などを提出して申請することもできます。

X(旧Twitter):遺族によるアカウント削除の申請

X(旧Twitter)には、追悼アカウントの機能はありません。アカウントの管理は本人のみとされており、死後は遺族や代理人が所定のフォームからアカウントの削除を申請する形になります。申請には、申請者の身分証明書や故人の死亡証明書などの提出が求められます。

Instagram:「追悼アカウント」への移行または削除

InstagramはFacebookの傘下であるため、同様に「追悼アカウント」への移行が可能です。追悼アカウントになると、既存の投稿は維持されますが、新たなログインや変更はできなくなります。もちろん、遺族が死亡の事実を証明して、アカウントの完全な削除をリクエストすることもできます。

LINE:アカウントの削除のみ(引き継ぎは不可)

LINEは一身専属のサービスとされており、アカウントの引き継ぎや追悼アカウントへの移行はできません。本人が亡くなった場合、遺族がアカウントを削除することはできず、基本的にはそのまま放置されることになります。ただし、端末の解約などにより、いずれ利用できなくなります。

主要SNSの死後手続き比較表

各SNSの対応の違いを一覧で確認できるように、比較表にまとめました。追悼アカウントの有無や、誰が手続きできるのかといったポイントを比較することで、ご自身が取るべき対策がより明確になります。エンディングノートを作成する際の参考にもご活用ください。

SNS

追悼アカウント

生前設定

死後の手続き

申請者

Facebook

あり

可能(追悼アカウント管理人指定)

追悼アカウント化 or 削除

遺族・追悼アカウント管理人

X (旧Twitter)

なし

不可

削除のみ

遺族・代理人

Instagram

あり

不可

追悼アカウント化 or 削除

遺族

LINE

なし

不可

原則不可(端末解約で消滅)

情報を確実に伝えるために:エンディングノートとパスワード管理のコツ

SNSの終活で最も重要なのは、ご自身の意思と必要な情報を、信頼できる家族に確実に伝えることです。せっかく準備をしても、その内容が伝わらなければ意味がありません。ここでは、そのための具体的なツールとして「エンディングノート」の活用法と、最もデリケートな情報である「パスワード」の安全な管理・伝達方法について解説します。プライバシーを守りつつ、必要な手続きをスムーズに進めてもらうための工夫が大切です。

エンディングノートに記載すべきSNS情報

エンディングノートには、SNSの「サービス名」「ID・ユーザー名・URLなどアカウントが特定できる情報」「残すか消すかの意思表示」の3点を必ず記載しましょう。これにより、遺族はあなたのアカウントを正確に把握し、あなたの意思に沿った手続きを進めることができます。

パスワードは厳重に保管し、伝え方を工夫する

パスワードをエンディングノートに直接書き込むのはセキュリティ上危険です。パスワード管理アプリを利用し、そのマスターパスワードの保管場所を伝えたり、パスワードを記録したUSBメモリなどを貸金庫に預け、その鍵の場所を伝えたりするなど、間接的な方法を検討しましょう。

まとめ:SNSの終活で、未来の家族に安心を贈ろう

SNSの終活は、残される家族への最後の思いやりです。少しの手間をかけるだけで、未来の家族の負担を大きく減らし、あなた自身も安心して今を過ごすことができます。この記事を参考に、ぜひ今日からご自身のデジタル遺品の整理を始めてみてください。

SNSの終活に関するよくあるご質問(FAQ)

Q1. 主要4大SNS以外のアカウントはどうすれば良いですか?

A1. 基本的な考え方は同じです。まずは利用しているサービスをリストアップし、それぞれのサービスのヘルプページや利用規約で「本人の死亡後のアカウントの取り扱い」について確認しましょう。多くの場合、遺族による削除申請の規定が設けられています。

Q2. 何もせずに放置した場合、アカウントは最終的にどうなりますか?

A2. サービス提供会社のポリシーによりますが、多くのアカウントは半永久的に残り続けます。長期間のログインがないことを理由に自動的に削除されるサービスもありますが、基本的には放置され、本記事で解説したようなリスクに晒され続けると考えるべきです。

Q3. 弁護士などの専門家に依頼する必要はありますか?

A3. 通常のSNS終活であれば、ご自身とご家族で対応可能です。しかし、SNSアカウントに金銭的な価値がある(多くのフォロワーがいて収益化しているなど)場合や、他のデジタル遺品と合わせて法的な手続きを希望する場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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